女神に能力のゼイタク言う子は八つ裂きですよ?~そして8人の俺
英知ケイ
第1章 俺、八つ裂きになる (第1話~第26話)
第1話 俺、女神をじっくり眺め回す
「お願いします! 私の世界を救ってください」
目の前の女神っぽい衣装を着たやつが俺に訴えかけてくる。
「……」
俺は無言で、やつの姿を上から下まで眺める。
うん、顔はいいかんじだ。
小さくて丸っこい顔立ち。
あの女子がいっぱい所属している某アイドル団体に放り込んでも、それなりの順位を維持できそうなレベルではある。
クラスの男子で女子の可愛さ投票でもしたら、コイツは確実にトップを争ってくるだろう、うん。
それから髪。これが俺にとっては重要だ。
肩は優に超えた長さのロング。
でもやぼったくない。ボリューム感があんまりなくて、髪の色が薄い銀色だからか?でも、コスプレっぽくはないんだよな。そのつやも自然だ。
いいね、これはいいね。
そして何よりも重要なのは、……胸だよな、やっぱ!
何かお願いしてきてるみたいだから、ガン見させてもらっても問題ないっしょ。
俺は、コイツの衣服から今まさに飛び出そうとしているかのような、大きな2つの山をじっくり見てやる。
じっくり見てやる……大きいな、これ何カップだ?
じっくり見てやる……クラスにここまでのサイズは……いたか?いや、いない(反語)
じっくり見てやる……やわらかそうだよな。たゆんたゆんしてやがる。もはや美味しそうだと言ってもいいっ!
じっくり見てやる……これ、後でおさわりOKか?
じっくり見てやる……ふう、とりあえず今のところは、満足。
こんなにじっくり見てたら普通つかまりそうだからな。
なかなかできないことをさせてもらったぜ。
今は両手が塞がってるから、それ以上ができないのが残念だ。
そして……もう見るとこねえな、俺的には。
2本の手と足がついてる、くらいだ。
服装はもう女神的だ。
ゲームに出てきそうというか、コスプレ会場以外でこんな格好してるやついないだろう。綺麗な薄い布がわりとぴったりと全身に巻き付いているって感じのあの服だよ。
俺にとっては嬉しいことに、胸の上あたりの部分は丸出し。
2つの巨大な膨らみが作り上げた深い谷間が丸見えどころか、気をぬいたら本体も出てきそうな勢いだ。
ありがとう、ありがとう。
ノースリーブで腕は肩あたりから出ている。
よくみると肩のラインっつーのか、このへん?……まあ、綺麗なもんだな。胸ほどのインパクトはないにしろな。
足は足下が少し出てるくらいで、文字通り2本の足があることがわかる、くらいだ。
コイツの年……はよくわからないけど、学校の周りのやつとかと比べると、少し俺より上くらいかもな。
「あの……聞こえていませんか?」
「……」
動けない状態の俺に、訴えてきた。
女神っぽい服装したコイツ……ああもう面倒だから女神でいいや、女神は、俺が答えないままいると、俺の目の前で手を振ったり、ぐるぐる周りを回って俺の様子を、見てんのかなこれは?激しく積極的にアピールし始めた。
何も出来ない俺的にはまったく鬱陶しいこと、この上ない。
そんなことを考えていると……。
「もしもーし、聞こえてますかー?」
突然近くに寄ってきたかと思えば、両手を俺の耳の近くに添えて大きな声をあげやがった。
ふいをつかれた俺の体の中で、消化器に送られるはずだったものが逆流する。口から吹き出す、一部は鼻のほうにきた、こいつは痛い!
あわせてて鼻をすする。
最悪の状態だけはなんとか避けることになんとか成功した、ふう。
俺は、手を止め、下を向いたまま、わなわなと怒りに震える。
「ご、ごめんなさいっ」
女神は流石に事態の異変に気がついたのか、どこからか取り出したタオルで俺の顔の周りを拭き始める。
タオルはどことなく良い感じに湿っており、コイツの優しい手つきを伴って拭かれていると気持ちいい、こいつはご丁寧だな、おい。
だがな、そういう問題じゃないんだぞ、これは。
俺は女神に向かって初めて口を開いた。
「ラーメンぐらい落ち着いて食わせろ!!!」
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