繰り返さない

私の手はすぐに黒くなってしまう。

学校に行っている途中に何か記憶が無い所があって、気付いたら学校の前に立ち尽くしている。その時にはもう両手に墨のような物がべとべとについているのだ。

私は低い位置についた蛇口を捻って手を洗う。静まり返った廊下。どうして、誰も学校にいないのだろう?

一輪車の練習をしたいのに、何故か有るはずの場所に行けない。

教室の戸窓から煌々と光が漏れている。

私は努めて慎重にそこへ向かう。取り逃がしてはいけないからだ。

振り返ると下に降りる階段。真っ暗で、先が見えない。

職員室の奥の部屋。あそこには、一体何が有るのだろう?

ボイラー室はガソリンの匂い。トンテンカンと階段を降りると、ボロボロの皮のソファ。

理科室、音楽室、視聴覚室、図書室、体育館。

全部もぬけの殻だ。

友達はどこにいったんだろう?先生はどこにいったんだろう?給食当番は誰?日直は誰?

今日は何曜日だっけ。

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