インターミッション

春編のあらすじ

◆春編①

 大学一年生、新入生の白井しらいけんは新入生勧誘PRイベントで軽音楽部の演奏を目にし、その中の鍵盤奏者に憧れを抱く。

 そして翌日、扉を叩いた軽音楽部の部室で、正に憧れのその本人、大学二年生の月無つきなしめぐるに出会う。

 しかし月無先輩の実態は異常な程のゲーム音楽狂いで、白井は自分もゲーム音楽が好きと迂闊な発言から、初対面でいきなりゲーム音楽への愛をブチ撒けられる。


 バンドのパート事情からゴリ押しされるように、白井は鍵盤奏者として軽音楽部に入部することになるが、実際の理由は、出会ってから知った月無先輩の持つ熱意への憧れ、そして何よりもその素敵な笑顔に惹かれたからであった。


 物事に本気で熱中すること、白井にとってそれは未体験のもの。

 月無先輩は正にその体現者という存在で、白井はそんな彼女と触れていくうちにゲーム音楽へのその愛をより深く知っていく。

 それだけでなく、好きだからこそ本気で悩む、そんなものも目の当たりにして、白井の中で月無先輩とゲーム音楽の二つが中心となっていく。


◆春編②

 軽音楽部で過ごす日々は白井にとって当たり前のものになっていく。

 色々な人と出会い、時には褒められ、励まされ、妬まれ、釘を刺され、練習をしては悩んで、解決して、新しい目標を見つけるといった充実した日々を送る。

 部活動での仲間が増えるに連れ、色々な考えや感情に触れて成長していき、それは次第にかけがえのないものとなった。

 月無先輩とゲーム音楽に触れる時間、それが最も心地よいものではあれど、白井はそれ以外にも真に価値あるものを手に入れた。


 月無先輩にとっても、白井と会ってからの時間は本当に価値のあるもの。

 ゲーム音楽を愛してはいても、過去のトラウマから人には話せなかった長い時間。

 白井との関わりの中で、散々その愛を語り、共感を受けては晴れていき、傷を癒すかのように少しずつ彼女も成長していった。

 大好きな先輩達にすら話せなかったゲーム音楽のこと、それに前向きになっていき、軽音楽部のオールスターでゲーム音楽バンド演奏、そんな夢を持つことさえできた。

 凍っていた時の全ては、白井と出会ってから動き出した。


◆春編③

 本気で好きになれるもの、部活動生活の中で白井はその答えの一つを手にする。

 初めてのライブ体験、確かに得られた達成感と高揚、報われるようにして得た明るい展望、そのどれもが白井にとって大切なものであり、夢中になれるもの。

 

 しかし夢中になれた本当の理由、それにはまだ蓋をしたままだった。


 ある日の決定的な出来事、月無先輩が所属する代表バンド、その大規模なライブ。

 月無先輩が見せた、ゲーム音楽を愛する彼女だからこそできる、ゲーム音楽を最高の形で昇華したかのようなキーボードソロ。

 隠し続けたそれまでとは違い、前向きに「これが自分の一番好きな音楽」と胸を張って見せつけたそれは、月無先輩が見せた最大の成長であり、否応なしに伝わった白井は感動を覚えて立ちつくす。


 そして月無先輩は、それまで見せたどれよりも晴れやかな、ステージ上で最も輝く笑顔を白井に向ける。

 他の誰でもなく、白井に向けられたそれ。

 せき止めていた感情が溢れだし、これまでの道のりは全て月無先輩がいたからであり、全ては彼女への想いが原動力となっていたことを白井は認める。


 男女関係なんて時間の無駄とまで言い切る月無先輩が、白井のことをどう思っているかは定かではないが、二人とも、一緒にゲームをしてゲーム音楽について語り明かす時間が最も大切だと感じている。


 好意を認めてやっと素直になれた、それだけで満足と気持ちを新たにした白井。

 夢中になれるものを見つけ、やっと月無先輩と対等な立場になれた。

 月無先輩にしても、今の気持ちの答えはまだわからないが、もう独りじゃないと思えるように成長した。

 そこから二人のゲーム音楽を巡る旅が本当の意味で始まった。



◆第二部は節目ごとに変わる、軽音楽部の夏のバンドの話です。

 基本的に前編後編分けはなく、メインストーリーと幕間を一話ずつ公開します。

 夏編①の幕間はメインキャラそれぞれのキャラ紹介回にもなります。

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