失った人生の細片を指おり数える

ささやか

酸欠同盟

 わたしたちは理解されない。りんごの輝き、週刊少年漫画雑誌のひととき、死にたいというインターネット上のつぶやき。そのすべてが、それでだからどうしたので踏み潰されて、なんだか息が苦しいね。明日になる。明後日になる。だけどずっと今日のなかにいる。呼吸困難にあえぎながら、戦えと強制されて、今日をいきている。

 わたしたちは理解されない。ひな鳥よりも脆弱なやわらかさでいること、ささいなとげが致命傷になること、きっと万能包丁をにぎれてしまうこと。それらを無造作に塗りつぶされて、どうにも息が苦しいから酸素が必要だと感じるんだ。

 けれど、酸素だけでは生きていけない。パンがなくては飢え死にする。それがわかっているから酸欠のまま戦っている。あのね、ゆっくりと深呼吸してすこし休もうよ。そんなことしてたらやがて飢え死にしてしまうけど、それまでは生きていられるから、別にそれでいいと思うよ。もしも死んでしまったら、あの世で人生ゲームでもやろう。ゲームではわかりやすく幸せになれるかもよ。なんてね。


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