第52話 谷と幼馴染VS和樹と好

という事で、何故かラブラブコンテストに参加する事になった。

俺は係員に誘導され、会場に向かう時に好を見ながら話す。

心配だが、好はとても元気そうな感じだ。


「.....好。本当に大丈夫か?体力とか.....」


「.....大丈夫。私はとっても元気だよ。だって貴方と一緒なんだから」


「.....そうか」


俺は好に笑みを浮かべる。

そして前を見ていると、会場に着いた様だ。

そのままステージの裏側の控え室に行く事になった。


チラッと見た限りでは見に来ている人がかなり多く居る。

この中にもし瑠衣とか聖良とか来ていたら.....結構なんか.....うん。

ややこしい事になりそうで怖いんだが.....。


コンコン


「失礼します」


係員が控え室を開ける。

そして入ってから俺は目を丸くした。

何故なら、その場所に。


「.....お前.....谷!!?」


「うお!?和樹!?何やってんだ!?」


それはこっちの台詞だ。

何故、こんな場所に居るのだ?

そして谷をよく見るとその横に黒髪の女の子が驚愕した顔で居る。

へ!?へ!??


「何やってんだお前!誘拐か!?誘拐なのか!!?お前に女は有り得ないだろ!」


「違うわ!失礼な!」


「じゃあ何でお前に女が居る!」


「こ.....この子はその.....」


意味が分からんぞ!?

谷に女!?

コイツには好が居ただろ!それ以外に女!?

有り得ない!


「.....白状した方が良い。谷。事がデカくなる前に」


「殺すぞテメー!違うって言ってんだろ!この子は昔住んでいた場所の幼馴染だ!」


「.....な.....に.....」


そっちの方が衝撃なんだが。

俺は見開いて、ビクビクしている可愛い女の子を見る。

まるで、小動物の様で有るが.....え?嘘だろ。


「.....お.....お前に幼馴染.....」


「何でそっちの方が衝撃受けてんの!?ねぇ!」


「この子とても可愛いね。谷くん」


好が谷の背後に居る、その女の子に話し掛ける。

縋りながら少しだけ赤くなりながら。

そんな感じだ。


「.....初めまして。私は.....谷くんの今の幼馴染の好だよ。宜しく」


「.....わ.....私は.....谷の昔の幼馴染.....で.....七宮夏帆.....って言います.....」


「.....そっか。高校生ですか?」


「.....し、身長はちょっと低いけど、高校2年です」


高二?それなら俺達と同じじゃないか。

誘拐とは思えんな。

しかし、こんな谷に女か.....。

ある意味、驚愕だ。


確かに谷は俺とは途中で仲が良くなった。

前は千葉とは聞いたが、詳しく何処に住んでいるか分からず。

その時の幼馴染なのか。


「お前.....今、失礼な事を考えたろ.....」


「.....特に何も考えてねぇ」


「そんな馬鹿な!」


しかし、谷を安心して見てくれる女の子が居るとはな。

俺も安心だ。

で。


「.....いつから付き合うんだ」


「ナッッ!!!!?」


「いや、幼馴染だろ?だったら」


「夏帆とはそんな感じじゃねー!な?夏帆!」


真っ赤になってんぞ。

夏帆が、だ。

まるで見透かされた様な.....谷も真っ赤になる。


「.....怪しいぞ。白状しろ。散々俺を馬鹿にしてきたんだからな.....お前には」


「夏帆、逃げるぞ」


「う、うん」


「逃すか!」


俺の尋問を受けてもらうぞ谷くんよ。

その様に思いながら俺はただ、谷にニヤッとした。

これは大ニュースだ。

谷に女ってな。



「何でお前が居るのか分からん。お前.....恋実神社に行ったんだろお前.....」


「そこの神主さんに誘われてな。このラブラブコンテストに参加する事になった」


「く、くぅ。油断した.....」


対面のパイプ椅子に谷。

横に好。

前に夏帆。

そんな感じで腰掛けていた。


「それでは谷くん。尋問をさせてもらうぞ.....フッフッフ」


「おま.....柄が悪い.....」


「和樹.....手加減してやってよ」


無論、手加減はするさ。

でも谷に女ってスクープだからな。

フッフッフ。

弱みを握ってから飲食代とか奢ってもらおう。


「あー。ったくよ。和樹め。.....えっとな、夏帆とは.....幼稚園時代の幼馴染なんだ。それでこの街に親父の転勤が理由で俺がこの街に引っ越して千葉で夏帆と別れる事になって。それで昨日再会したんだ。その理由としては偶然だったよ」


「そうかそうか。良かったな.....フッフッフ」


「柄が悪い.....」


「まぁ、そんな事言うな」


楽しいじゃないか、こういうのもよ。

その様に思いながら、夏帆を見る。

そして頭を下げた。


「.....谷を大切にしてやってくれ」


「.....はい」


「良い男だからな」


「はい」


何を夏帆に教え込んでんだ、と谷は怒る。

いやいや、事実だからな。

この子なら、いや。


幼馴染なら信頼出来るしと俺は思う。

それから笑みを浮かべた。


「やっぱり.....優しい方ですね。谷がお世話になってます」


「.....いや.....谷が優しいんだ。有難うな」


「.....はい」


「和樹、それ以上は止めてくれ。恥ずかしい」


事実だろ。

俺はその様に思いながら、ニヤッとする。

すると突然のドアがノックされ。


「.....あ、失礼します。そろそろご準備下さい」


「え?参加者って俺と和樹だけ?」


「あ、はい。そうなります。.....偶然にも参加者の方があまり集まらなくて.....」


まさかだろ。

俺と谷のバトル!?

見開きながら、俺は谷を見た。


「.....おもしれぇ.....和樹。お前とは一度、本気で対戦してみたかったんだ!」


「.....でも恋人バトルだぞ?一対一じゃ無いぞ!?」


「うん?はっ。構わないぞ。.....俺は.....お前を倒してみるぜ!」


「.....ったく。.....なら仕方が無いな。じゃあ俺もお前を倒す!」


こうして、俺と谷、吉見と夏帆が対決する事になった。

全ては温泉旅行を巡って!!!、だ。

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