第3話 世界は廻り、告白を受ける

猛スピードで向かった、谷家にての事だ。

取り敢えず、谷は殺されはしなかったが、暫く好の監視下に俺達二名は置かれる事となってしまい。


監視下と言うのは、要はGPSを常に起動させておけとのお達し。

オイって言うか、これも作戦のうちなんじゃねーの?

何で俺達はこんな囚人の様な感じになっているんだよ。


「.....じゅ、重々に反省しています」


「.....俺もだ」


谷家の谷の部屋で正座させられて俺達は好と睨めっこしていた。

まさか谷の家に幼馴染を装って侵入を測ろうとは誰が思ったものか。

それはまさかの展開で有って、絶対に予測が出来ない。


「.....だってこれも和樹の幸せの為なんだから.....ね?」


その好はハイライトの目をパソコンのお絵かきの消しゴムの様に搔き消しながら静かにニコッと話す。

いや、あのな、お前は心を読めるのかよ。


俺は足が痺れると思いながら、ビクビクで俯く。

そんな俺達の目の前には破れ捨てられた、そらき、さんの作品が置いてある。

どうやら、その目に焼き付けろという事らしい.....ってか、怖いんですが。


「.....反省した?.....じゃあ、解散だね。私、用事が有るから帰るね」


「「は、はい」」


「あと、これは燃やすね」


「「は、はい」」


取り敢えずはその様にしか俺達は返事が出来なかった。

俺は思いっきりハァとため息を吐く。

そして、谷を見た。


「.....すまん、谷」


「.....いや、良いって事よ」


俺達はマジで顔を青ざめたまま、考えるしか無かった。

好はニコニコしながら話が終わるまでという感じで、俺達を見つめたまま。

ハイライトを消しつつ、立っていた。


まさに囚人の様だ。

たまったものでは無い。

ハァ.....。



携帯のGPS機能で追跡するという。

それはつまり、俺ははっきり言って動けん。

コンビニで、本屋でエロ本も買えないから非常に参った。


近所のエロ本屋でエロ本を買う夢も潰えた。

俺は帰りながらその様に泣きながら思う。


どうやってアレを済ませるのか、と。

思春期の男を舐めるなよ。


「.....ハァ.....」


その帰り道で目の前を見ると。

よいしょ、よいしょと言いながら瑠衣が何か買い物袋を手にして歩いていた。

俺は見開いて、それから笑みを浮かべる。

そして近付いて行く。


「おい。重そうだな」


「あ、お兄.....もう良いの?」


「.....ああ。もう良いんだ。ごめんな。.....えっと、今日も父さん.....と春子さん.....遅いんだよな」


頷く瑠衣の買い物袋を持つ、俺。

これに対して、瑠衣は笑みを浮かべる。


俺の父さん、二郎と遠藤春子さん。

昔、実は俺が幼い時に癌で母さんが死んで暫く鬱になった俺の為に、父さんは大手の会社を辞めた。


その為、俺が回復した今は一心不乱に働いている為、土日もほぼ、家には俺と瑠衣しか居なかった。

春子さんは看護師で忙しい様で、俺が瑠衣の面倒を、瑠衣が俺の面倒を見ている。

だが当初は.....そうだな。


『.....お兄ちゃん.....お兄ちゃんなんて居ないもん!』


そう、瑠衣は俺に胸ぐらを掴んではぶつかってきて居た。

それは丁度、互いに傷を負って居た2年前の事。

懐かしい記憶だな。


瑠衣は父親を突然の失踪で失くしたのだ。

その為、突然居なくなった事に。

赤の他人と暮らすのに。

俺に思いっきり殴り掛かってきて打つかったのだ。


俺を俺は全力で受け止めてそして宥めているうちに。

俺達の仲が良くなった。

今ではこんな感じで、実の兄妹の様に振舞っている。


「瑠衣。今日もまた任せて良いか?.....晩御飯」


「あ、えっと、勿論だよ。あ、でもレパートリーそろそろ増やさないと飽きるよね。お兄.....」


「うんにゃ、全く問題無し。大丈夫だ」


今、俺と瑠衣は居ない両親の為に共同で頑張っている。

共同生命体な感じだ。


料理が瑠衣。

洗濯が俺。


そんな感じで、だ。

瑠衣は今、どの様な気持ちで生きているのだろうかその事を考えながら。

俺はその言葉を言った。


「.....瑠衣。有難うな」


「ふぇ!?何!?」


「.....いや、愛してるって事だ」


「.....ふぇ?!」


顔を超、超、真っ赤にする、瑠衣。

あれ?こんな反応されると俺も恥ずいんですけど?

家族の意味で.....愛していると言ったんですが。


その様に、思いながら自宅に帰って来た時。

荷物を置いていると背後からぽしょぽしょ小さな声が。


「.....私も.....お兄の事.....好きなんだよ」


その様な小さな呟きが聞こえた気がした。

でも半分しか聞こえなかった為、私も、しか聞こえなかった。

振り向くが、先に瑠衣は駆け出して行ってしまい。

真相を聞けなかった。



「えっと、今日はね、明太子ペペロンチーノ!」


「.....へぇ。オリジナル?結構、美味そうじゃん」


「でしょ!?ね!?」


リビングで俺は瑠衣と会話する。

俺は目の前のパソコンを弄りながら宿題の調べとかで操作して居た。


瑠衣は嬉しそうに俺を見てくる。

袖無しのシャツで、エプロンを身に付けて。

髪はポニテ。

まさに奥さんって感じで有る。


「.....まるで最高の奥さんだな。あはは」


「.....えぇ.....ふにゃ.....!?」


なんだこの反応は?

俺はその様に思いながら、首を傾げつつパソコンを閉じて。

まぁ良いやと言ってから手を挙げる。


「洗濯してくるな」


「.....えっと.....お兄.....」


「.....どうした?」


突然、こっちを見て来た瑠衣。

赤くなりながら、モジモジする。


暫くそのままだったが、突然、それを吹っ切った様にはにかんだ。

そして笑顔で俺の背中を押す。


「.....ううん!何でもない」


「.....?.....そうか」


何だか今日は瑠衣はおかしい様な?

さっきは俺の部屋に来ようともしたみたいだしな。

俺が扉で瑠衣を殴ってしまった結果になったが。

女の子というのは良く分からんな。


『コロスヨ?』


うん、本当に分からない。

俺は青ざめながら。

目をパチクリしている瑠衣を見てから洗濯をする為に洗面所に向かった。



「.....美味かったな.....」


「うん!そうだね、お兄」


明太と海苔。

んで、イカと野菜で結構合う。

良いぞコレ。

そしてかなり満足で有る。


「.....さて、そうなると.....今から何すっかな」


俺は食器の洗い物をしながら、考える。

途中までは勉強はしていたがやる気が起きない。

どうしたもんかな。

と思っていると類が食器をカタンと置いて、真剣な顔で俺に向いてきた。


「.....あ、えっと.....お兄。ちょっとは暇って事だよね。その.....話が有るんだけど.....私のお部屋に来て」


「.....は?あ、ああ?」


瑠衣がこんな表情。

一体、何なのだろうか?

俺はその様に思いながら、洗い物が、洗濯が全部終わってから。

瑠衣に手を引かれ、瑠衣の部屋に控えめにやって来た。


「えっと、お邪魔するぞ」


「.....うん」


可愛いぬいぐるみが沢山。

そしてピンクに彩られた部屋。

あとパソコンが目の前に置かれている、そんな感じの部屋で。


瑠衣は赤くなりながら、モジモジする。

何だろうか、今日の瑠衣はいつもより更におかしいな。

その様に思いながら、俺は頭を掻く。


「.....ど、どうした?」


「.....お、お兄。えっと、今日、好さんに告白したって聞いたんだけど.....」


何処で一体、何故、それを知っているのだ。

俺は相当に驚愕した。

数秒で玉砕したその事を、だ。

俺は赤くなりながら、頭をボリボリ掻く。


「.....ま、まぁそうだ。んで、失敗した」


「あ、えっと!?.....あ、よ、良かった.....」


「へ?」


「あ、えっと、えっとね.....」


瑠衣は赤面しながら再びモジモジする。

そして、意を決した様に。

一人の恥ずかしがり屋が目の前の民衆に話す様にスウッと息を吸った。

そして、俺に息を吐いて話す。


「私と.....付き合って下さい」


「.....な!?」


それは、まさかの衝撃だった。

俺は思いっきりに見開いて赤面して驚愕する。

何を、え!?

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