第104話 スーパーノヴァ
その日
それを
「ラードミル……恐らくあれが門なる邪神と呼ばれし、異界とこの地を繋ぐ試練呼ぶ因果だ。そこへかの大邪神と這い寄る混沌がいるのは明白。」
『ええ、ウォガート卿の仰る通りでしょう。そして――我らが
地上は英国
救生の志士らが立って数日を数える今、
状況の摺り合わせと通信を送って来た英国統一防衛軍代表、
天を見上げれば昼夜問わず異変が進行する状況で、英国を初めとした世界各国で確かに混乱が巻き起こり――その沈静化に奔走するのは英国は
しかし遥か三十六万キロ彼方で戦う未来ある同胞の安否が気になり、気が気でない状態が続いていた。
「我らはこの地球で成すべき事をなすだけ。彼らを信じようではないか。」
『信じましょう、彼らを。観測者に選ばれし、救生の志士達の奮闘を……。』
高貴なる者達の想いは言葉ではない意識領域へ。
やがて
世界の命運が激突する、遥かな深淵の戦場へ――
§ § §
突如として現れた
さらに響いた
「私はこれまで主の導きの中で戦い続けた! だが……アリスの使徒か――存外に悪くはないな! 」
『エルハンドもそう思うか! 俺など
宙域を悠々進行する門なる邪神へと接敵する
近付けば宇宙を貫く巨大な柱とも思えるそれを相手に、一切の躊躇無くそれぞれが突撃して行く。
「ならばアルベルト……貴君の新たなる覚醒への選別だ!かつての最高位天使の力再解放を以って、貴君と供に邪神を討つ事をこのメタトロンも願っている……! 」
「行くぞメタトロン! 〈モード・ルシフェル〉――
機体前方へ現われたる幾重にも折り重なった、二つの先端を持つ神槍……聖なる者を貫きし長大なるそれを手にした天使と騎士が一体となる。
「天河を貫く神代の一撃……この神槍 ロンギヌスの一撃を! 得と味わって行け、邪神めが――エイィィーーメンッッ!!!」
その神の一撃に呼応する様に、
「なんとも心沸く配慮だ、エルハンド! ならばこちらも、かつての力を呼び起こさねば示しもつかんな! ペイントゥースよ――」
「遥か
咆哮と共に三対の黒翼が生まれた黒竜。
そこより魔霊力の奔流が紫電となって噴き出し、機体各所へ
加えて背部へ備えた四対の巨大な衝角が前へと可倒されるや……紫電がそこへエネルギーの奔流となり集束され――
「受けよヨグ=ソトース! 魔軍の誇るこの魔王アシュタロスの一撃を!
長大なる邪神左右部で、今まさに最後の一撃が放たれんとしていた時。
天頂とその真逆でも討滅の咆哮が上がる。
「おい、燃えカス! このエルダーサインの力を借りれば、一時的に元の力を発する事も叶うぞ!? 」
『同意かな、同意かな! しかし我らだけでは、十分ではない——と言う事で……剣の君と吸血王にもご助力を賜りたい! 』
だが彼女らと共にあるは、本来擬似的に霊格を搭載する事を想定された機動兵装。
長時間の戦闘には耐えられぬとも、邪神屠る一撃を見舞う程度ならばと助力を残る二人——
「どの道この質量を相手取って確実な一撃を与えるなど、時間以上に問題がある所——邪神の本領を発揮出来るのならば便乗する他あるまい! シャルージェ卿は如何に!? 」
『ふふっ……皆まで言わずとも分かっているでしょう! むしろそのために私達がここにいるのです! ならば躊躇う事などありません! 』
邪神娘らの意見へ、問答の余地も無しと首肯を交わす人ならざる者達。
舞う物量で攻め立てる尖兵を蹴散らすや、直感で各々が寄り添うべき邪神の側へと飛ぶ。
それを機体モニターで確認した邪神娘達は、
膨大なる物理上のエネルギー ——彼女達の故郷たる異界の宇宙より溢れ出る力を、今いる宇宙の演算方式にて神霊力 必要総量へと相転移させて行く。
何の事はない……かの宇宙からの力を今、数億に登る尖兵がわざわざ彼女達の元へと運んでしまっているのだから。
「ククッ……混沌め、誤算だったな! 救世の志士側にボク達邪神が付いた——あの時、葬り切らなかったツケが回って来たと言う訳だよ! 」
「浅はかかな、浅はかかな! この太陽系に住まう人類とてバカではない——義に準ずる者ならばこの様な神に相対する力を、
言うや邪神娘達の機体が、人ならざる者達の機体と一体となる。
直後……変異融合とでも言える姿が宙域へと姿を現した。
その御姿は——かの邪神娘らの本体とも言える、
「抜かるなよ!?燃えカス! この姿で力を使えるのは一度きり! 本体形状の高密度量子情報を、一時的に実体化させたものだと思考へ刻め! 」
「言わずもがなだ、ハスター! 二人は霊力的に同調してくれれば、我らが力を行使する! 共闘かな、共闘かなっ! 」
『この様な形での共闘とは心が躍る! 承知した……ハスター嬢、我が真祖の力を存分に活用されよ! 』
『中々に相性も良い組み合わせ……流石は策士たるハスター様の采配! このシャルージェの霊的なる御霊——クトゥグア様に
双方の得物の特徴がさらに同調を後押しし、その奇跡の体現がなったのだ。
「奔れ爆轟、煉獄へと包め蹂躙の邪神炎戯! フレア・シュナイダル・アクセラクションっっ!! 」
「舞え、先鋭なる我が尖兵! この身の閃烈なる衝角の刺突と共に、巨大なる御敵を打ち散らす! ダンジグ・ヘッジホッグ・ヘルストームっっ!! 」
燃え盛る爆炎刃の無双乱舞が……さらには針の
そして——
§ § §
「
『うおっ!? アイリスそれ、大丈夫なのかよっ! 』
『エルダーサインの力を純粋なる貫く力に変える……完全な力技だね。』
『ですが
三方の超常の突撃がなる瞬間に合わせた様に、
『そだね~~! 相手デカすぎだし~~みんながぶつかるタイミングを考慮したら~~ ——』
『なのです! う、うう……ウィスパ達も……同時に突っ込まねば勝利はないのですぅ~~! 』
「ふふ……そうだね。ヨグ=ソトースを討たなければ、
そして
「ならば私達が出来る事はただ一つ! 他の素晴らしき家族と共に、この門なる邪神を討つ事! ドレッドノート・シクスレイド・スマッシャー……貫けぇぇーーーっっ!!」
旧神の守りを構成する五芒星を中心に陣を組む
それに追従する千の
四箇所へ散った者達の襲撃はほぼ同時期。
巨大なる邪神の四点がその襲撃に撃ち抜かれ、ただの爆轟を遥かに上回る閃光を撒き邪神が咆哮を上げた。
それは邪神さえも穿つ
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