メガテン

 女神転生シリーズ。元は徳間書店の小説だったらしい。知らなかった。

 私が初めて見たのはifか異聞録の方だった。テレビの中、プレイしているのは母。仮面党を名乗るマント姿の仮面人間が「カメカメカメーン!」と叫んでいる。コントローラーを貸してもらい、マップと、平面上の逆三角形のアイコンに『プレイヤー』の意識が仮託されていることを知る。基本的に私はゲームで地図の読み方を覚えた。


 「吾にもさせよ」幼かった私は母にねだり「まだ難しいと思うよ」とごくまっとうなアドバイスを得たが強行した。結果、クリアは出来なかったと思う。ifの話なのかペルソナの話なのか記憶がごちゃ混ぜになっている気がする。


 っていうか基本的に普通に生活しているだけで母からゲームのネタバレを食らい、クリアには至らないことが常だった。「〇〇でつまった。どうしたらいい?」「攻略? だいぶ昔のことだから忘れた。お母さんのセーブデータコピーしてもいいよ」(そういうこっちゃねぇんだ……)

 いやほんとに、人のデータで遊んでも何の思い入れもわかないから、面白さ半減なんだよ。


 そんななかペルソナⅡ~罪と罰~ だけはちゃんとクリアしたと思う。たぶん。母がゲームをするお陰で、家の中ではベルベットルームのBGM、たっちゃんがジッポをカチカチする音(神経質な野郎だ)、妙に甲高い足音なんかが常に鳴り響いていた。長じて私はジャズを好むようになったのだが、この時のサウンドトラックが嗜好を形成するのに一役買っているのは間違いない。


 

 っていうかさぁ。私はユフィ(FF)とかユッキーみたいな女が死ぬほど好きでそれが楽しみでゲームはじめたりしてるのにさぁ。


 なんで速攻パーティを離脱するのか????????


 お前らメインヒロインの設定ミスってません??????????


 説明書読んだ時の私のときめきを返して???????


 ユフィに振り当てたマテリアル返して????????



 という怒りは幼い胸を強く打った。ショートカット&元気っ娘&盗賊、あるいはソバージュのカメラマン(姉御肌)をメインキャラに据えないとかどうかしている。ユッキーに憧れた純粋な乙女心を返してくれ。




 そして満を持して真女神転生Ⅲである。このころは自我が何となく存在していたので記憶もばっちりある。東京が死んでぼくが生まれた。このキャッチコピー、セカイ系の極み……! 東京受胎、単語の絶妙な厨二感(称賛の声だよ)。人間のヒロインが存在しないのもとてもいい。私はピクシーを嫁にすると最初から決めていました。ポケモンで言うと、最初にオーキド博士にもらったあいつとずっと旅をするということだね!


 しかし進化すると可愛くなくなる。それは悲しい。よって私は。


 ピクシーを進化させないままでプレイするのを試みていたんだけど、やっぱバギ(全体攻撃がないと先に進むのしんどかった)は覚えてほしかったので、高速道路辺りで諦めました。私のピクシーはハイピクシーになった……。悲しい。その後も私の冒険はこんな感じ。


 ネコマタ、君に決めた! → ひっかき、他。よわい 進化するとかなしい。


 サキュバス、よろしくお願いします! → 強い敵にはチャーム効かない


 こうなったら俺の嫁はティターニアだ!!! 絶対零度でクリアして見せる!!! →ボス戦敗北


 パールバティ、一緒に世界を業火に巻き込もう! 君の回復スキルが必要なんだ! →あかん、いまいち決め手に欠ける


 スカアハ師匠! ぼくについてきてくれませんか????? あなた宙に浮いてるし、強いと思う!!!! ……スカアハ師匠がだめなら、クーフーリン、お前でもいい! 大国主、クーフーリン、フトミミとぼくで天下とろう!

 → フトミミ死亡


 基本的に私のプレイ記録は失恋の記録であった。最終的にやけになってアバドンと組んでいたと思う。アバドン可愛いよな? アバドンは地面に埋もるモーションが可愛い。アバドン、モト、誰だっけ、棺桶からバーンって殴りつけるやつ、のパーティでしばらくずっといた。

 そう、私は完全にこのゲームを、ヒロイン探しの旅だと勘違いしていた。目的を取り違えたままゲームするの楽しい。


 マニアクスではダンテが現れたり、アトラス、好き放題していた。ライドウもでていたんだっけな、記憶が定かではない。マニアクスは私には難しすぎたみたい。スペクターのイベントは好きで、あの辺までクリアしたと思うんだけど、最後までやってない気がする。ダンテが嫁になってくれても良かった。


 

 私はマネカタたちが好きだったので、神も悪魔も人間も全部敵に回して迎えるendがあればなぁと思った。シジマもムスビもあとなんだっけ、ヨスガも大嫌いよ。更に言うと破壊か現状維持かっていう二者択一を迫るシナリオも嫌いよ。だからストーリー自体には満足できなかった。マネカタの世を作りたかった。でもできなくて、そういう悲しさがもとになって、今も創作を続けているのかもしれない。

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