公園で喋る。

@Kanoooo

透明な世界の話。

 金治は夢を見た。全体が深緑の世界に立っていた。夢から覚めた休日の朝。

 「すべてが透明な世界は何色なんだろう?」

 金治と銀司は日中に公園で休んでいた。

 「銀司。あらゆるものが透明な世界の先には何色があるんだろう。黒色。白色。鼠色。俺は深緑だと思うな」

 「急にどうした」

 「他人の考えを聞こうと思った」

 「透明なんだから透明な色なんでしょう」

 「銀司は変わってる。俺にはその考えは世界に終わりが無いって考えに聞こえる」

 「いや終わりはある。どこかに終わりの壁が世界にはある。それが透明なんだ」

 「それが透明だったらその先も見える」

 「その先は無い。透明が終わりなんだ」

 「壁はありその壁は透明で壁の外も透明だって言う事か。壁ではないだろうそれは」

 「透明は透明という色なんだ。透明色は色の先の色が見える色ではない」

 「実際先が見えるじゃないっすか」

 「それは俺達の認識が間違っている。本当は先は見えていない。見えていると思っているのは俺達の幻想なんだ」

 「ファンタジーですね」

 「妄想好きなんです。あと旅行も好きです」

 金治はソフトクリーム(ミルク)を舐める。冷たくて歯がキーンとするのが嫌だった。しかし舐める。「うぁぁあぁぁ。……おいし」

 銀司は唐辛子を入れまくったカップラーメンを食べる。舌が痛くなるのが嫌だった。しかし啜る。「いぃいぃぃ……うま……」

 金治にサッカーボールが降ってきた。大きくバウンドするボールを手で受け止められずソフトクリームに当たり服に付いた。

 近づく子供。「だっせー」

 金治は手に持ったボールを子供に思い切り投げて受け止められた。「取ってんじゃねえぞおらあああああああ」

 子供に襲い掛かったが逃げられた。何も出来なかった。

 「あいつ足速いわ」椅子に座り足を組んで銀司を見た。

 銀司は無表情で前を見ていた。

 「なにか言って」

 「……成長期初期の小学生になにしてんの?」

 「おいおい! 手加減したから! なあ!」

 「……泣けるぜ」

 「お前レオンじゃなくて坊主だろ」

 「うん。俺はレオンじゃない。俺がレオンだったらナイフで友情を切ってるね」

 「切らないで」

 「冗談。透明な世界ってなんで想像した?」

 「人は死んだらどういう所に行くのかと思って」

 「精神世界だからな。心が綺麗なら綺麗なところに逝けるんだろ。金治の心はまばらに黒い汚れがこびりついてる」

 「ひぃぃぃぃぃ」親指を噛み締める金治。合掌して震える。「あひぃぃぃぃ」

 「やめろ。はずかしい。金治の全力疾走から逃げ切った子供が見てるぞ」

 「俺はまだ本気じゃない。でも透明な世界の話を他人の考えが聞けてよかった」他の人にも聞こう」

 「他の人は金治と同じだ」

 「そうかな。なら聞かない」

 「でも違う考えもあるよな」

 「なら聞こう」

 「けど金治が尋ねる相手は皆お前と同じ考えだ」

 「なら聞いても仕方ないか。やめとこ」

 「でも知り合いの中には一定の割合で別の考えが在る他人がいる」

 「なら聞こう」

 「そうしたらいい」

 「じゃあ聞いてくる」

 「え? いまから?」

 「うん。じゃあね」

 「あ。うん」

 「ばいば~い」金治は走って公園から出た。

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