第14話 子犬
「結局、だいぶくたびれていたんですね。オーバーホールしたら見違えるように元気になりました。これでもうずっと乗れますよ。」
美生は店主に丁寧に礼を言って、クッチョロに乗って帰ることにした。行きに乗ってきた軽自動車は佳が運転して、美生の後に続く。
久しぶりに乗ったクッチョロは、とても乗りやすくなっていた。店主はエンジンだけでなく車体も全て分解して整備してくれたらしい。
美生の家のガレージに、クッチョロをしまう。ガレージは元の姿のままクッチョロを迎えた。美生は祖父を偲んで、あまりガレージの中をいじらなかった。
「クーちゃん、お帰り。」
佳は歌うように言う。子犬は自分の犬小屋に帰って来た。珍しくガレージに来た母の目が潤んでいるように、美生には見えた。
美生は再びクッチョロで通学するようになった。ツーリングは佳の希望でヴェスパでタンデムすることがほとんどだが、通学は必ずクッチョロだった。
「行くよ、クーちゃん。」
カチャンとギヤが入る音がして、軽快なエンジン音とともにクッチョロは走り出す。
美生は今日も子犬と走る。
(クッチョロ!! 完)
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