　僕はクラブチームのセレクション合格へむけて、

いよいよパス練習を始めた。

　練習はいつも家の近くの公園でやっている。

お父さんと向かいあって、インサイドキックで短い距離の

パス練習を繰り返した。

　距離は10m。

　「パスの基本はインサイドキックだ。ねらった位置にしっかり蹴れるように、

練習するんだ。相手の右足にパスを出そうとおもったら、右足の方へしっかり狙って蹴れるように何回も練習するんだよ。

それと、自分の左足の方へパスがきたら、左足でトラップをするんだ。」

　お父さんはこまかく1つずつアドバイスをしてくれる。

　お父さんはプロサッカー選手の経験はないらしいけど、

大学でもサッカーをやっていたし、社会人になってもプレーしているらしい。

　「ボールを遠い足で止めるんだ。

　　左からきたボールは右足でのトラップが基本だ。」

　「コントロールオリエンタード。自分が動く方向にコントロールするんだ。

　その方が、次のプレーがスムーズになるぞ。」

　漠然と練習しちゃ駄目なんだと僕は思った。

　セレクションに合格するために、しっかりどんなプレーが評価されるかポイントをおさえて練習しなくちゃいけないんだ。

　お父さんとパス練習をしていると、すぐ近くでリフティングしている20代くらいの男性がいた。

　「あきら。あそこでリフティングをしている人を見るんだ。」

　お父さんはそう言って、1回練習を中断させた。

(続く)

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