圧倒的な力の差

(毎日午後0時更新予定)


名古屋がわりとあっさり先制点をとった。

京都ペースだったのにサッカーはよくわからない。


僕は意外だなと思いながら、お父さんに話しかけた。

「やられそうだと思ったけど、なんか知らないけど、

名古屋が先制したね」

「そうだね。これがJ1とJ2の差だな。」

そう、お父さんは言った。


当時、名古屋がJ1、京都がJ2だった。

知らない人のためにいちおう説明しとくと、

J1は18チーム、J2は22チームある。

ルールは、わりところころかわるんだけど、

2018年の場合は、J1の16位以下はJ2のプレーオフの勝者と入れ替え戦がある。

J1 17位と18位はJ2の1位、2位と自動入れ替え。

J2 3位から6位はプレーオフを戦って、勝者がJ1 16位と入れ替え戦をするわけだ。


さて、話を試合に戻す。

この1点をきっかけに試合は大きく動き出した。

京都が同点に追いつこうと今までよりさらに前ががかりで攻めてきたのだ。

しかし、そんな京都の攻撃を名古屋はうまく守り、

逆にカウンターから名古屋が追加点をとった。

スコアは2-0だ。

この追加点は京都にあたえたショックは大きかったようだ。

この得点をきっかけに京都の守備は崩壊した。


名古屋のパスワークは、さえわたり、京都にまったくボールを奪われなくなったのだ。


「さすが名古屋。やっぱりJ1のチームはJ2とは違うね。」

僕は感心して言った。

「そうだな。たいした差にはみえないけど、

やっぱり決定力とか守備の激しさとか、J2のチームとJ1のチームでは力の差がある。」

お父さんはそう言った。


試合は終わってみれば4-0だった。

名古屋の完勝だ。


「・・・・」

僕は言葉にならなかった。

「どうした?」

お父さんは聞いた。

僕は武者震いした。

「お父さん・・」

「サッカーって面白いね。」

僕は、お父さんの方を見てにっこり笑って言った。

「そうだね。」

お父さんは答えた。


これが僕とサッカーの本当の出会いだった。

ここから僕のサッカー人生が始まったのだ。


(続く)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る