第98話 泉の本質
泉は昨日寝ていないと言っていた、そして僕もあまり寝れていない、とりあえず「少し寝て落ち着こう」と言って泉を自室に行くように、寝る様に言った。
いや、まあそう言って直ぐに出ていったわけではなく、凛ちゃんの家で寝なくて何をしていた? とか、昨日の凛ちゃんの事とか何で凛ちゃんの家に行ったのか? とか、ミイちゃんの事とか、根掘り葉掘り聞かれた……。
泉には、本当に何も無かった事を……特にミイちゃんには興味は無い! ロリじゃない! と言う事を強調しておいた。
本当に興味無いんだからね! 仮にミイちゃんがメイド服を着ても……ミイちゃんがメイド服……ロリメイド……可愛いかも…………いやいや。
そして最後に今日の事をもう一度謝った……もう二度としないと言って、泉に謝った……でも……泉は僕に謝られても何の事やらと、キョトンとした表情をしていた。
僕は、泉の事が好きだ……やっぱり諦められない……でも……。
あんな事を……ベットに押し倒すなんて事をしたのに、何でもない顔をしていた泉……僕は今日少しだけ……ほんの少しだけ……泉が怖くなった。
とりあえず僕は泉を自室に行かせ、一人自分の部屋で泉の事を考えていた。
半年……泉が家に来て、僕の妹になって半年。
奇跡が起きているのはわかっている。
片思いの相手と、絶対に手の届かない相手と家族になり、一緒に暮らしているなんて奇跡以外にあり得なかった。
そして半年……僕はこの生活に慣れたばかりに、さらに上を求めてしまった。
泉の恋人になりたいって。
そんな分不相応な考えになってしまった。
僕はベットに寝転びボーッと天井を見上げていた……。
窓からはどこからか子供のはしゃぐ声が聞こえる、今、学校は冬休み、そしてまだ昼前……。
その声に少し我に帰った気がした。
昨日から現実離れをしている様な……いや、もうずっと現実じゃない世界にいるような気がしていた、そんな約半年間だった。
ずっと一人ボッチだったのに……泉と兄妹になり、愛真が帰って来て、凛ちゃんと友達になった。
僕は今凄く幸せなんだろう……去年の僕が今の僕を見たら羨まし過ぎて恐らく悶絶する。
でも……今、僕は……それほど幸せとは思っていない……。
そして僕は寝返りをうち横向きに寝転ぶ……ベットから微かに泉の香りがする。
さっき嗅いだ甘い泉の香り……このベットに横たわる泉を思い出す。
綺麗だった、美しかった、天使の様だった。
そんな泉を、綺麗な泉を僕は汚そうとした……。
罪悪感と泉の匂いを感じながら、もうなくなっている温もりを、さっき抱き締められた温もりと柔らかさを思い出しながら……僕は目を瞑る。
目を瞑りながらこれからの事を考える……。
やっぱり僕は泉が好きだ……泉を諦めようと、兄妹になろうと頑張ったけど……無理だった……。
一瞬でも妹を襲うとするなんて……全然駄目な証拠だ。
だから僕は告白した……泉にバカな告白をして終わらせようとした。
でも……泉は僕の告白を受け入れてしまった……多分……。
兄からの告白を受け入れてしまう泉……究極のブラコン……。
今の泉は……多分全てを僕に許してしまう……身体も心も全部……。
でも……一体それで良いのだろうか? いや、それって絶対に間違えてるよね?
兄が妹に手を出すとか、どこのエロ小説だよ! それなんて同人だよ!
だから僕は手を出すわけにはいかない……父さんも義母さんも許す筈がない……。
でも……。
泉は究極のブラコン……兄だから好きになる……。
つまり僕が兄じゃなくなったら……。
僕は泉の兄にはなりたくない……でも泉は僕が兄だから好きになっている。
「なんなんだよ……一体……」
多分前の……泉の本当の……実のお兄ちゃんが初恋の相手なのだろう……そしてその恋は当然叶わなかった……だから今度は僕で……泉はそういう思いなんだろう……か。
兄と言う文字が、立場が、泉の恋のフラグ……発動条件……。
僕はようやく理解してきた……泉という人間の事を。
はっきり言って……病んでいる……前の兄に心をおかしくされている。
死んでしまったから……なんだろう……それが恐らく泉の傷に、心の傷になっている。
「それでも……僕は泉が……」
なんとかしたい……泉の傷を……心を……兄として……家族として……好きな人だから、僕の大好きな人だから……。
僕はそう思いながら……ゆっくりと眠りに落ちて行った。
【あとがき】
これで第1章が終了です。
話の本筋、これが泉の本質でした(笑)
この後両想いになったと思った泉はこれからどんどん真君に迫って行きます(笑)
そして気弱な真君は泉に流されていく?(笑)
さらに、愛真と凛ちゃんは今後どうなるか?!
第2章を書くやる気と気力アップの為に、ブクマと★レビューをよろしくお願いします。m(__)m
レビューは最終話下から入力出来ます。
レビューと言っても文字を入力しなくても大丈夫ですので是非に(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
それではここまで読んで頂きありがとうございました。
今後も是非ともお付き合いの程宜しくお願いいたします。
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