第22話 委員長の正体
泉が近くに居なくて良かった、こんな所を見られたら何を言われるか……
今日泉はこの間のお茶会が短くなってしまった代わりって事で、皆で学食を食べると僕にお弁当だけ渡し食堂に行ってしまっていた。
「えっと、な、何かご用かしら? えーーっと、佐々井君?」
「ふわーー凄い! 疑問形でも名前を一発で呼んでくれるなんて」
顔に吹き掛けられたご褒美……オレンジジュースを拭きながら僕はめげずに話しかけた。
「いや、あなた最近薬師丸さんと兄妹になったじゃない、じゃなきゃすぐに出てこないわよ、影薄くって」
「ですよね~~」
分厚いメガネで僕を見つめる彼女、うーーん、今一表情が読めない。
「そ、それで、私に何か用かしらって、そうよね、ええわかっているわ、あの事ね」
「あの事?」
「え?」
「え?」
「えっと、分かってないの?」
「何が?」
「いえ、えっと違うんだ、じゃあなんで?」
「えっとですね、実は委員長に折り入って相談があるんです」
「そ、相談?」
僕は近くの椅子を借りて委員長の前に座りこそこそと話し始める。
「あのですね、色々あって僕今困ってるんです」
「何? え! まさか遂にうちのクラスにいじめが!」
「ないです、いじめられてないです、そもそもいじめられる程僕皆に認識されてないですから!」
「あーーーー、まあそうね……それじゃ何? 悩みって、私に言って解決するの?」
「あっさり納得されるのもなんか……まあいいや、えっとそうです、委員長に解決できるかも知れない様な気がしないでも無い様な悩みなんです」
「何それ?」
「えっとですね、まあ、簡単に言うと、クラスに友達がですね、欲しいかなって」
「は?」
「えっと、とーーもーーだーーちーーがーー」
「聞こえてる、聞こえてるから!」
「小声だったから聞こえてないのかなって」
「うーーん、作れば良いじゃない」
「それが簡単に出来るなら委員長に相談しないです」
「いや、私に言われても、そういうのは男子に言った方が」
「なんて言えばいいんですかね?」
「そんなの自分で考えなさいよ」
「考えたんだけど思い付かないって言うか、断られる未来しか想像出来ないって言うか」
「知らないわよ、私は委員長だけどカウンセラーじゃないんだから」
「委員長ってクラスのカウンセラーって言うじゃないですか」
「聞いたこと無いわよ、何処の世界の話しよ!」
「そこをなんとか」
お願いします、神様仏様委員長さま、僕は手を合わせ委員長を拝み倒す。
「や、薬師丸……えっと泉さんに相談しなさいよ、兄妹でしょ?」
「みっともないでしょ、妹に友達どうやって作るのって聞くとか」
「クラスメイトの私に聞くのもかなりみっともないと思うけどね!」
「そこをなんとか委員長~~」
「キモ!」
「酷い!!」
「あーーもう、じゃあえっと例えばそうね、趣味の話しとかを誰かにしたら良いんじゃない?」
「えーーーー、無理だよ僕の趣味って特殊だし」
「ああ、まあそうね、中々メイド趣味ってマニアックだもんね」
「え?」
「え?」
「なんで僕の趣味がメイドって?」
「あ! ああ、えーーっと、ほら、学園祭の出し物の時語ってたじゃない」
「ああ、あの節はご迷惑を」
「いえいえ、逆に助かったけどね」
「逆に?」
「いえなんでも……」
「て言うか委員長」
「何?」
「以前何処かでお会いしたことありません?」
「は? 毎日会ってるでしょ?」
「いや、学校の外で」
「まあ、見かける事もあるでしょ?」
「いや、なんかつい最近、喋ったような、こんなやり取りをしたような」
なんか段々と委員長の喋り方が変わってきて、それと同時に何かデジャブを感じる、何だ? どこかでこんな会話を……
「き、気のせいじゃない……」
委員長はそう言ってオレンジジュースを飲みだす、うーーーーん、どこかで…………オレンジジュース…………みかんジュース、……みかん…………!!
「ああああああああああああああああああああああああ!!」
「ぶふぁあああ」
またご褒美をっていやそうじゃない、あの顔立ち、あの声、眉毛、体型、メガネを外して髪型変えたら、て言うか喋り方がそのままじゃないか!!
「み、みかんちゃん!!」
「!!!」
「うわーーーーみかんちゃん、みかんちゃんだあああああ、えーーーー凄いみかんちゃんと同じクラスだった!!」
「あわわわわわわわわわ、ちょっと、佐々井君ちょっと」
「うわーーーー凄い、また会えた凄い~~~」
「ちょっとこっちに、良いからこっちに、さっさと出ろおおおおお!」
「うわーーーみかんちゃんが手を、また僕の手を~~~~」
「早く出ろ、出なさーーーーーーーーーーーーい!!」
委員長(みかんちゃん)が僕の手を引いている、ああ幸せ~~~~また会えた、僕のみかんちゃん♡
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