第20話 友達を作ろう!

 

  泉に頑張ると言ったものの、何を頑張れば良いのか検討も付かない。


 勉強? 運動? 性格? 容姿? 生活態度?


 泉に相応しい兄になる……泉に相応しい兄って……どんな?


 日頃泉は僕に何も言わない、それこそ何もさせて貰えない。


 僕だって父さんと二人暮らしが長いので家事はそれなりに出来るんだけど……


 何も言わない、何もさせて貰えない状態に僕はあぐらをかいていた、でも内心ではやっぱり不満があったんだろう、愛真が居る時僕に初めて言った、ちゃんとしろと……


「でも……やっぱり家事とかじゃあないんだよね」


 僕がちゃんとしないと行けない事、泉が不満に思ってる事……それは……学校……


「お兄様はいつも一人で居て……か」


 そう僕はいまだに透明人間のままだった、それを止めたくて、変わりたくて僕はこの学校に来たのに、いまだに皆に馴染めない……小学生の頃から何も変わってない……


 泉に認められたい、泉に見直されたい、泉に誉められたい。


 変わらなければ、このままじゃ駄目だ、このままボッチで良いわけがない、クラスカースト最上位とクラスカースト最下位、この二人が兄妹だなんて……


 これじゃあ泉が可愛そうだ、胸を張って兄と呼べる様な存在にならなければ。



「と、友達を……、学校で友達を作れば……少しは泉が安心してくれる……かも」


 友達を作る…………友達? えっと……どうやって?


 僕の友達って……今まで愛真だけだった、それも愛真から友達になろうって言ってくれた、僕から言った事は今までない。


「友達ってどうやって作るんだ?」

 こういう時はネットに頼れば……とりあえず僕はググってみた。


『友達の作り方』と入力し検索をかけてみた……


『友達の作り方簡単な20のコツ』


「20個もある時点で簡単じゃないいいい」

 いきなり20とか……2個位でなんとかならない?

 ため息をつきつつもここで諦める訳には行かないとその先を読む。


『友達を作るには友達が欲しいアピールをしましょう』


「アピールってどんな? 物欲しそうな目で見るの?」

 友達になってくれそうな人をジーーっと見る……物欲しそうな目でジーーっと……ヤバい奴だよね? 絶対になってくれないよね?


『積極的に話しかけましょう』


「それが出来れば苦労しないってばああああ」


『連絡先を聞いたりしてお互い教えあいましょう』


「…………だーーーーかーーーーらーーーー」


「だ、駄目だボッチ拗らせてる僕には無理ゲーだ」


「まずそこにたどり着けないんだよ~~、話しかける? なんて? 趣味の話しとかするの? えっと……メイドどっとこむの記事見た? 新しいメイドコスチューム出てたよね、でも僕はやっぱりビクトリアンが好きでさーーって話すの? 引くよね? 絶対に引くよね?」



「無理だ……絶対に無理だ」


 僕は諦めてスマホを閉じようとした……でもやらないと……泉の為にも……やらなければ……


「でも……うちの学校って元女子高だから女子が圧倒的に多いんだよね、男子は既にグループが出来てるし」

 あの中にいきなり入るのは無理……特にうちのクラスの男子ってなんかリア充多いし……

 オタクグループとか居れば……まあそれはそれで僕みたいな特殊なオタクって入りずらいんだけどね……


 クラスで目立たない様にするにはそれなりに技術が必要になるんだ。

 まあ僕くらいのベテランになると、目立たないどころかか空気になれるからね、そう僕は透明人間になれる……うう自分で言ってて心が痛いよママん。


 と、とにかく一番はカースト上位の人達から離れる事、あそこに嫌われたり敵対されたりしたら、一番目立っちゃうんだ、逆らうなんてもっての他だ。


 でもそうだ、僕はこれからもう透明になれない、だって泉の兄になったから……もう隠れられないんだ。


 でも……これはある意味チャンスなのかも知れない、変われるチャンスなのかも……


 今のクラスは泉を中心にカーストが出来上がっている、いきなりあそこに入るのは無理、かといって、うぇいうぇい言ってる男子グループにも入れない、そもそも男子が少なすぎる……うーーーーーーん……


 そうだ……あの娘なら……僕はある人物に目を付けた、カースト上位の人達とは一線を引いている、クラスで一番地味な女子、特定のグループにも何故か属してない、そしてある意味クラスの頂点にいる女子……それは……


 クラス委員長。


 話した事はないが彼女の印象は、クラス委員長になるくらいだから、やっぱり生真面目ってイメージに尽きる、容姿もどことなくいなか娘の様でうちの垢抜けた女子達とはちょっと違う。


 そして、なにか僕に通じる物を彼女には感じていた、別に彼女は僕と違いはボッチじゃないんだけど、なにか以前から彼女と話したい、話しかけたいって思っていた。


 そんな女子は、いや男子も含めて今まで居なかった……


 僕はその女子に、委員長に話しかける事にした、あわよくば……お友達になれるかも知れないと。


 男子と遊ぶより女子と遊ぶ方が慣れているしね、まあ愛真ってゲームとか好きだったし、あんまり女子って感じじゃ無かったけど、それでもいきなり男子に話しかけるよりは行ける気がする。



「よし! やるぞ、泉に認められる為に僕は変わる!」




 僕のターゲットは……クラス委員長、通称赤メガネ、一萬田 凛(いちまだ りん)


 僕は、僕は彼女に話しかける! そして……と、友達に!!…………なれたらいいな~~~~





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