第14話 ミカンちゃんの秘密
「どうしました? 僕の顔に何か?」
「な、何でもない……そうか……それは考えてなかった、でもそうか」
「ん?」
「えっとぉ、始めましてかな? ミカンでぇーーす」
「急にキャラが、ああ、でもミカンちゃんが目の前に、前回の特典DVDのキャラの通りだ~~」
「キャラいうなし……えっとぉ、ミカンのお店に来てくれてた事ってありましたっけ?」
「あーー、僕、メイド喫茶入った事ないんです、ごめんさい」
「はあ? メイド好きの癖に?」
「ああ、はい……高校生になったら行こうと思ってたんですけど、中々入る勇気がなくて」
なんか入り口迄は何度も行くんだけど、外に飾ってある写真で満足しちゃうっていうか、僕気が弱いから進められたらお金一杯使っちゃいそうな、歯止めが聞かなくなりそうな……
「あーーうん、まあ、でもほらぁ、友達とか誘って入れば以外と」
「あーー、僕……友達いないから」
「あーーーーー」
「いいんです、高嶺の花って言うのはこう遠くから愛でるのが一番良いっていうか、取りに行くと危険っていうか」
「なにそれ、あははは、佐々井君って面白いね」
「え! な、なんで僕の名前を?」
「あ!」
「ど、どこかでお会いした事ありましたっけ?」
僕の記憶では、こんなに可愛い娘って、泉以外には居ないんだけど、ましてやミカンちゃんは僕のアイドル、一度会ったら忘れる筈がないんだけど……
うーーんと考えて見るが検討も付かない……
「あ、えっと、えっと……そうそう、その制服、この近くの学校の制服だよね、あの、お嬢様学校の」
「ええ、まあ元ですけどね、今は共学ですが」
「えっと、そうそうこの間の学園祭にたまたまお邪魔して、そうそこで君を見かけたんだよね、えっと誰かに名前を呼ばれてて」
「ええええ! 学園祭来てたんですか! でも僕何も参加してなかったし……つまり、歩いていた僕をたまたま覚えてたって事ですよね、そんな事ありえるんですか?」
「なんか説明ありがとうって感じだけど、あーー、うん、でも君って暗い感じだけど、顔は変じゃないし、オタクなんだけどそんなにキモくないし、うん、君結構可愛いよ、いや、可愛かったよ、だから覚えてた、うん、そう、それで行こう」
「それで行こう?」
「ううん、なんでもない」
「そうか~~ミカンちゃんに覚えて貰えたなんて、うわーー光栄通り越してなんかもう身近な凄く身近な、まるでクラスメイトの様な存在に思えて来たな~~」
「う!」
「ど、どうしたんですか?」
「ううん、な、なんでもない……」
「そうですか、あははは、まあでも僕クラスでボッチだからクラスメイトって結構遠い存在なんですよね」
「まあ、そうだよね」
「そうだよね?」
「ああ、えっとうん、そう見えるよね」
「そう見えますか、そうですか……」
「あーーー、ごめん」
「ううん、いいんです、それよりミカンちゃん、本は買わないで良いんですか?」
「あああ、そうだ、急がないと教師の目にでも留まってバレたら大変」
「教師の目?」
「ああ、えっと……うん、そう、私メイドの仕事しているの内緒なの、学校アルバイト禁止だし、だからこの辺りに特に今回の雑誌置かれてるとバレる可能性があるの!」
「そうなんですか、でも今回?」
「そうよ、だって私の特集号なんだもん」
「ええええええええええ! そ、それじゃあ、優勝したんですか!」
「そうよ!」
胸を張って反り返るミカンちゃん、ああ、ミカンちゃんの胸ってやっぱり……
「うわーーー凄い、おめでとうございます!」
「あ、ありがとう……」
「うわーー、前回優勝した恵ちゃん、芸能界入りして今やテレビのバラエティーにも出てるアイドルタレントになってるじゃないですか、ミカンちゃんもそうなりますよね、す、凄い、僕、未来のアイドルと今二人っきり話してるんだ、うわーーー感激だあああ」
「こういう二番煎じはそうそう上手くいかないよ……でも……ありがとね」
マスクをしているが、にこりと笑ったその目に、その笑顔に僕はキュンとしてしまった、天使だ……あれ? この世界に泉に匹敵する天使なんているわけないと思ってたけど……
「じゃ、じゃあ、私いかないと、あ、貴方の分だけ残して置くから、すぐに買ってね」
「あ、ちょっと待って下さい、一つ、一つお願いが」
「え? えっと、秘密をバラされたくなかったらとかそういう奴? えっと……し、仕方ないわね、あまりエッチな事は……」
「あ、いえ、是非、本にサインを」
「…………」
このあと雑誌にサインをしてもらった。
ミカンちゃんは何か少し不機嫌だったけど……やっぱりサインとか図々しかったかな?
でも、いいや、ミカンちゃんのサイン入り、お宝本ゲットだーーーー!
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