ザルバニトゥ・カレンシー

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梗概・登場人物・舞台設定

★DAppsやDAOなどの世界変革を成し得るブロックチェーンや暗号通貨(仮想通貨)の最先端技術の啓蒙はマルドゥック・シリーズを通じてでしかできない!!


【梗概】

 イースターズ・オフィスのバックアップとして、海を渡った大陸国家にある組織<バックスターズ・オフィス>の活躍を描く。


 大陸国家の辺境の地ザルバニトゥ市にあるオフィスへ、ある日、ゾルタン・ガウディから驚くべき依頼が届く。正体不明の者をあわせたトラスト・インフルエンサー3名の保護。間もなく市民投票で生命保全プログラムが受理され、ドクター・マイニング率いるバックスターズ・オフィスは同様の依頼を受けた他事務所らと競って彼らを保護すべく行動を開始する。

 オフィスのエンハンサーであるビットはさっそく馴染みの刑事から情報収集しているところで急襲される。敵はあきらかにエンハンスメント技術を用いていた。ここにトラスト・インフルエンサー争奪戦が幕を開ける。


 他事務所を蹴落とすべく攻撃を仕掛けてくる事件屋組織。

 水面下に潜む中央集権の残存勢力。

 ――直線的な敵対者。


 真の分散社会を目指すべく、居場所特定のために保護要求をかけておきながら実はその裏でトラスト・インフルエンサー抹殺を企むゾルタン・ガウディらDAO推進派。

 ――曲線的な敵対者。


 それらと対抗する、トラスト・インフルエンサーを祭り上げた新興宗教組織。

 ――利害が一致した協力者。


 ナブチェーン(物語内のブロックチェーンの呼称)によって構築されたトラストレスな分散社会で各人の思惑が衝突する。任務遂行の最中、渦巻く陰謀に翻弄されつつ、ビットは己の存在意義、己の価値を見出していく。


【登場人物・組織】

バックスターズ・オフィス

 連邦国家にあるイースターズ・オフィスのバックアップとして、海を渡った大陸国家にある組織。ドクター・イースターと旧知の仲であるドクター・マイニングが業務提携のカタチで設立した。互いに互いが「もしも」のときのバックアップ足り得る組織として存在している。

★マルドゥック・アノニマスの続編で、パワー不足のイースターズ・オフィスに海を渡って協力する組織、となれたら嬉しいです!!


ビット/69歳

 バックスターズ・オフィスのエンハンサー。マイニングだけが知る、匿名の存在アノニマス。剥き出しの脳だけで水槽内に生存しており、オフィスの地下に厳重保管されている。

 大戦時には有能な大陸国家の兵士であったが、連邦国家の空挺部隊員ディムズデイル・ボイルドに殺された。そのためボイルドの姿が強く記憶に焼きついている。遺体解剖中に脳だけ蘇生し、現在に至る。

 オリジナルのビット。


ビット(BIT = Backup IT の意)/18歳(主人公)

 バックスターズ・オフィスのエンハンサー。ビットから分裂ハードフォークしたデジタル人格であるが、本人はその事実はおろか、ビットオリジナルの存在を知らない。

 ボディは大戦時に大陸国家が開発した戦闘用人型サイボーグ、それをマイニングがより人に近づけるべく日夜改造している。銀のようにきらきらと輝く髪は剥き出しの代謝性金属繊維である。

 10分毎に自身の把握しうるすべての情報をデジタル化し、ナブチェーン(物語内のブロックチェーンの呼称)に刻むという能力ギフトを持つ。耐改竄性にすぐれたそれは、実質、本人のバックアップに等しい。

 ビットの記憶を受け継いでいることで――また、マイニングのミスリードもあって――己は「脳は生身」「身体だけサイボーグ」だと勘違いしている。己がデジタル人格であることを知った際にはショックを受けるが、事実を受け入れた後、デジタル機器および人工ボディを飛び回る無敵の能力を手にする。海を渡った遠方の改造植物ウィスパーと交信し、時おり意志疎通をはかることがある。

 マイニングがより人に近づけるべく施した改造にて、最近、あらゆる性交の技術を組み込まれた。試しに使用してみたテクニックでイーサを虜にしてしまっている。人工精液の開発、組み込みなど、マイニングはさらなる改良を検討している。


イーサ・バーン/18歳

 ビットの大学の同級生。4大名家、バーン家の子女。ビットに執着している。


ドクター・マイニング/年齢不肖

 大陸国家きっての奇人。連邦国家のドクター・イースターとは大戦前に交換留学で意気投合した仲。大戦中も頻度は低いながらも、敵対国の者同士でありながら、特殊な暗号通信で交流していた。終戦後、イースターと業務提携し、バックスターズ・オフィスを設立。


ゾルタン・ガウディ

DAODecentralized Autonomous Organizatio推進派の雄。銀行を終わらせた男あるいは政権エクスカリバーを民衆の手に取り戻した男と呼ばれている。市内に知らぬ者はいないほどのビッグネーム。バックスターズ・オフィスに依頼を持ちかける。


【舞台設定】

<時代>

 マルドゥック・スクランブルとマルドゥック・アノニマスの間の時代。


<場所>

 終戦後の大陸国家(実質的に連邦国家に敗れた敗戦国)


<場所詳細>

 大陸国家の辺境の地ザルバニトゥ市。通称、実験室ラボ。他都市との交流が極限まで規制された鎖国都市。あらゆる最先端技術の実験場とされ、ガラパゴス的な社会進化を遂げている。中でもとりわけトランスヒューマニズムが加速し、市民は体内にマイクロチップを組み込むことを義務づけられている。クリプトトラスト出現以後、中央集権が衰退して分散社会化が進み、既存の通貨概念は失われた。信用によって構築される新たな価値社会と、既存社会、固定概念、なにより既得権益への執着が産み出す歪みの中で社会全体が未だ不安定な状態にある。


<各種設定>

●コンセンサスアルゴリズム

 PoS:Proof of Stake

  所有量によるコンセンサスアルゴリズム (仮想通貨の根幹を成す仕組みの1つ)

 PoW:Proof of Works

  仕事量によるコンセンサスアルゴリズム (仮想通貨の根幹を成す仕組みの1つ)


●トラスト

 残寿命×好感度によるPoSで算出される市民の価値。既存社会の通貨に変わる、信用をカタチ(定量化)にしたものである。


「残寿命」は市民投票権の与えられる18歳時に800ptからスタートし、38歳で最大の1000ptを迎える。以降は年々減少するが最小値は1ptである(ZEROとなって投票権を失うことはない)


「好感度」は他者に与えた心理的影響から算出される。センサフュージョンの発達により好感度の算出が可能となった。心拍数や体温、脳内血流の変化から、誰が、誰に、好感(あるいは不快感)を抱かせたか、を脳内マイクロチップのAIが自動判定する。市民は本人も気づかぬうちに好感度算出され、記録されている。

 尚、殺人事件などの場合、被害者は加害者に対して死の直前に激しい不快感を抱くことが多いため、犯人は被害者周辺で犯行時に好感度が急落した者、として捜査する手法が確立されつつある。

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