ディスティニー “後悔先に立たず”

落ちこぼれ大学生

第1話 単純な決断

20xx年、春、ある1人の高校1年の男子は、普段と変わらない生活を過ごしていた。


高校時代に満足した恋愛経験する機会はみな平等に与えられるものではなく、自らが努力をするか、あるいは運命的なものでしかないと京本龍也は捉えていた。


そのため、他人の色恋話を聞くのは良かったが、自分の事は話したがらなかった。


スポーツと勉学に励み、裕福でない家庭状況を理解し、特待生として大学に進むことを目標に置いていた。


そこに明確な理由があったわけではなく、無難に大人への階段をのぼることを描いていた。


容姿も中の中であり、中学生の時に同じレベルの女子に告白されたことがあるだけで、それ以来なにも出来事がなかったし、興味もなかった。


日常でアニメや映画を見た際、稀に恋愛って楽しそうと思う程度であった。


「おれの人生マジで平凡だよなぁ……ははっ。」

このセリフが口癖だった。


いつも通りの生活を終えて、部屋のベットでスマホをいじっていたら、宛名のないメールが届いていることに気がついた。


「迷惑メールの内容考えるやつってほんと暇だよな。」

と言いつつ、珍しく開いてみるとそこには、


『あなたの人生でいらないものと引き換えにほしいものを与えましょう。 』


と文頭にあり、後に詳細が記されている。


『一つ、このトレードでは同等の質のものでしか成り立たたず、裁量が困難なものはこちらが内容を提示し、了承はそちらに委ねる。


その代わりに交換成立後は、そちらのいらないものの返還は例外を除いて、不可能とする。


一つ、どんなものでも交換可能だが、感情などの特殊なケースはこちらの指定した場所に来て頂き、取引を行うこととする。


一つ、他に特殊なケースとして恋愛や娯楽や趣味などは、段階を決めて提示することとする。

娯楽で例を挙げると、アウトドアはNOでインドアはOKとするならば、こちらで監視し、契約違反をすれば、相応の罰則を与えることとする。


上記で述べたように個人情報を必要とするため、契約後に入力して頂きます。

漏洩などの心配はありません。


その他に質問があれば、このメールに返信してください。


このメールが迷惑であれば、消去してください。』


と長々とした文章綴られていた。


龍也は面白半分に


いらないものの欄に「恋愛:彼女を作ること」


ほしいものの欄に「お金」


と入力して返信すると、

すぐに

「1億円でよろしいですか?」

と返事があり、

「はあい。」

と送り、目を閉じた。

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