第55話 落下

 柔らかいビルの屋上にいた。

 ウレタンのような…スポンジのような…

 ビルの端には、大きな丸いノコギリが回転しながらビルを切り裂いていく…


「ココに居てはダメなんだ…」

 飛び降りようと下を見ると、あまりの高さに眩暈が襲う。

 足場も悪い

 ビルは縦に裂けていく…チーズのようにベロンと剥がれて地面に落ちる


「飛び降りなければ…」


 僕に居場所など在りはしない…

 ココにも、その下にも…

「飛び降りる意味など…」


 高いだけ…足場は悪く脆く

 落ちれば死ぬだけ…

 死ぬために昇ったのか?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る