第30話 天使

 もしも目の前にいたのなら?

 きっと僕に嫌悪するのだろう…


 僕は正しくない

 僕は勤勉でもない


 僕は神を信じない…


 だから神の使いなど信じない、たとえ目の間に立っていても…


 救ってくれなどは言わない

 だけど殺してくれとは言うかもしれない…


「死が救いであるならば、僕を殺さない」

「生が罰であるならば、僕を殺せない」


 救われなくていい…ただ無に還りたい

 何も無かったことにしてほしい

 僕に居場所なんて…無かったのだから


 よく解ったから…

 もう誰も傷つけたくない…

 僕は傷ついたままでいい、僕が傷つけた、あの人の記憶から僕を無かったことにしてあげてください…


 出来ないのなら…オマエを殺すよ


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