第27話 蜻蛉

 秋の空に蜻蛉が泳ぐ

 高くは飛べないけど飛べないわけではない

 目線の、やや上を飛んでいく

 僕には、どこか無理をしているように思える


 飛ぶために産まれたの?

 本当に飛びたかったの?


 そんなところで飛んでいても…ね…


 ほら、猫に捕まった…

 ほら、鳥に食べられた…


 何のために飛んでいるの?


 不気味な身体に不恰好な飛び方で…


 群れ成して飛ぶ愚かな蜻蛉よ

 お前も人と変わらぬ蟲


 愚かで群れるだけの蟲、オマエもボクも

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