第2話 いつきちゃんの小指
あたしといつきちゃんは秘密の関係なの
お友達のみかちゃんだって
近所のおばさんだって
担任の先生だって
きっとお母様やお父様だって
あたしたちのこと知らないんだ!
日曜日にみかちゃんが遊びに来たんだけどね
きっとあたしといつきちゃんの関係知ったら
絶交だなんて言われちゃうし
あたしたちの関係を引き裂こうとするかも!
だからあたしの布団の中に隠してたんだ
そうしたら
みかちゃんあたしの部屋に入るなり
キョロキョロ部屋を見渡すから
「みかちゃん、どうしたの?」
っておずおずたずねると
「模様替えかー。前より可愛くまとめたね」
だって
すっごく心配しちゃったよ!
みかちゃんはスツールに座らせて
あたしはベッドに腰掛ける
ファッションの話
アイドルの話
中間テストの話
たわいもないこんなお喋りをして少し経つと
「ねえねえ、ここだけの話なんだけど」
あたしの耳元に口を近づけて
みかちゃんはとっておきのコイバナを始めた
「京平くんと由紀さん、付き合ってるらしいよ」
「夕方の誰もいない教室でね。2人がね……」
「キャー! 言うのも恥ずかしいんだけど!」
みかちゃんは言葉で教えてくれる代わりに
右手を輪っかにしてお口の前で前後させたの!
聞いてるあたしまで顔が火照っちゃった!
あたしの全身がうずうずするんだけど
心に浮かんだのはいつきちゃんのこと
あたしといつきちゃんの関係は永遠じゃない
そんなことが頭をよぎる
ふと
みかちゃんなんか気にせず
布団の中に右手を突っ込んで
いつきちゃんの肩
二の腕肘手首手のひら
感じると
いつきちゃんの小指
右手を輪っかにぎゅっと掴んじゃったの!
よかったみかちゃんは気づいてないみたい
いつきちゃんの小指を私の輪っかが包むの
幸せ
それだけでとっても幸せ
でもこんな幸せみんなには秘密だよ
あたしたちが誰にも引き裂かれないように
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