(仮タイトル)

青山えむ

第1話

 人の性格は、子ども時代に形成されるのだろうか。

 子どもの性格は、何を基に形成されるのだろうか。

 環境だろか。双子でも性格が違うと聞いた事がある。双子といってもリアルに四六時中同じ環境にいる訳ではないだろう。

 一瞬、本当に一瞬、双子に違う選択がされたとして。その一瞬が、双子を分けたのだろうか?


                 ○●


 私は東北の片田舎に住んでいる。地元の会社に勤めながら、ファッション誌にコラムを毎月書いている。全国の書店に並ぶ雑誌だ。

 きっかけはネットだったか本の投稿だったか覚えていない。とにかく文章を書いて、ネットやハガキで投稿していた。それが編集者の目に留まったらしい。


 コラムのテーマはファッション誌らしく【女子のススメ】的な内容だ。

 女子の大変さや愉しさや不便な事などをテーマに展開している。これが何故か徐々に人気が出てきて今や結構な話題作になりつつある。

 今まで書いてきた中で好評を得る女子象は、暑いも寒いもいつしか慣れたと勘違いしているような女子だ。

 自然の力や、自分の力では抗えない大きな力というものがある。それに対抗出来るのは、勘違いや思い込みといったパワーだ。自分の思った通りに修正してしまう、記憶すらも。


 読者からコラム作者の素顔を知りたい、といったメールが多数届いているらしい。

 編集部から、顔写真を出してみるか? と云われたがお断りした。

 私はコラム連載している事を周りには教えていない。素性は隠したまま執筆している。

 友人にも家族にも会社の同僚にも。

 私にとって同僚はコラムのネタである。OLあるあるやキラキラ女子の見本にしている。ある意味一番バレたくない相手だ。


 会社の飲み会は、あんまり参加しない。一人暮らしをしているので、家事なんかを理由に断る。そしてコラムのネタ集めの為に、三回に一度は行く。

 同僚との会話は愉しんでいる「ふり」をする。自分が生き易い為に「ふり」の連続だ。

 友達でもないのに本心を話すなんて愚かな事だ。つけ入れられる隙を作るだけだ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る