ここにいたこと
「怒られるよ」
「もう関係ないもん」
「てか、絶対捨てられるよ?」
「それでもいいの!」
彫刻刀で、数分前まで自分のものだった机に、名前を彫るその背中。
窓の向こうは、昨日も明日も同じ夕暮れ。
「やっぱり貸して?」
満面の笑みが振り向く。
「ね、一緒に刻もう」
卒業の日に。
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