新妻の物想い
新妻が夫のスーツの匂いを吸い込む。
嗚呼、これは父のかおり。
頭を、頬を、撫でてくれた無償の愛を注ぐ人。その人と同じ香りがする。
夫となるべき人を両親に紹介したとき、父がふと驚いた顔をしたのが、なんと愉快だったこと!
玄関の鍵が開く。
彼女は娘から妻の顔に戻って出迎える。
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