第18話 全琮《ぜんそう》:孫魯班の夫で呉を支えた名将
全琮は字を
つつしみ深くおごりたかぶらず、相手の気持ちをよく考え、財を惜しまず人にほどこす性格だったといいます。
父の
戦乱を避けて南方に移住した中原の士人たちも全琮を頼る者が多く、全琮は家財を投げうって彼らを助けたといいます。
これによって全琮の名は天下に聞こえるようになりました。
関羽が樊城と城陽を包囲したさい、全琮は「いまこそ関羽討伐をするとき」と孫権に上奏し、計略を述べました。
孫権も関羽討伐計画を立てていたので、事を漏らさないためにこれを却下。
関羽が捕らえられたのち、孫権は全琮に、
「今日の功績はおまえにある」
とたたえ、楊華亭侯に封じました。
そののち、魏の水軍が攻めてきたときもこれを防いだり、
孫権の跡継ぎとして、
陸遜は孫和を推していて、全琮の身内の者が孫覇に組していることを非難したことから、二人の仲が険悪になります。
そもそもこのあらそいの発端は、妻・孫魯班が孫和とその母の王夫人を讒言したことで、孫権の寵愛が孫和から孫覇に移ってしまったからであり、全琮としては孫覇側につかざるを得なくなっているような状況です。
政争のなか、孫和は都から追い出されてしまい、いったん孫覇側の勝利となりますが、そののちに全琮は亡くなってしまいます。
けっきょくケンカ両成敗で孫覇も皇太子にはなれず、幼い孫亮が孫権のあとを継ぎました。
いっぽう全琮の亡きあとは、子の
魏で
全懌も兵を率いて寿春に向かいましたが、魏軍に包囲されて投降。その後は魏に仕えることになりました。
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