第16話 歩練師《ほれんし》:心優しき孫権の妻

 歩練師ほれんしは孫権の側室で、歩隲ほしつと同族です。


 ちなみに「練師」の諱ですが、唐代の許嵩きょすうが記した六朝の歴史『建康実録』巻二に出てきます。

 正史三国志においては「歩夫人」「歩皇后」で知られています。


 容貌が美しかったことから孫権に見初められ、後宮でもっとも寵愛を受けていました。


 後宮といえば女性たちの嫉妬や陰謀がうずまく場所でもありますが、歩夫人は性格がよく他の後宮の女性たちを助けたりしていたので、孫権をはじめ多くの者たちに慕われていました。


 孫権が呉王になると、歩夫人を皇后にしようとします。

 しかし徐琨じょこんの娘である徐夫人を群臣たちが推していたので、決められないまま時がすぎていきました。


 徐夫人は、歩夫人とちがって嫉妬深い性格だったといいます。


 宮中ではやはり歩夫人のほうが人気がありました。まだ皇后でないにもかかわらず、宮中の者たちは歩夫人を「皇后」と呼んでいました。


 そして歩夫人は亡くなったのち、孫権の意向によって正式に皇后の位が送られたといいます。


 ところで歩夫人には、孫魯班そんろはん孫魯育そんろいくという二人の娘がいました。


 姉の孫魯班のほうは母に似ず強い権力欲があり、奸計をつかって多くの者を陥れ、妹の孫魯育までをも誣告によって殺してしまいます。


 この姉妹の話はまた後日に。

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