なんか起きたら美少女になってたんですがそれは。
とも
第1話「始まりは突然に」
「…ーっ…!」
…聞こえる。
それは何かを叫んでいるような声にも聞こえるし、大きな音にも聞こえる。
……なんだ?
耳をすまそうとしているうちに、“それ”は少しずつ大きくなっていった。
もしかして俺のことを可愛い女の子が起こそうとしてくれt「はよ起きんかい!」
その言葉と共に、ベシィッと叩かれた。
『痛っっってぇ!!!』
なんやねん!!と、叩かれた肩を擦りながら周りを見渡す。
…んだこれ。
辺りは一面真っっっっ白。
雪国かここは。
…でも寒くねぇ。
いや、むしろ…
…暖かい。
まるで天国のような心地良さもあり、でも、どこか寂しいようにも感じる謎の空白の世界にぽつんと俺はいた。
『…何処、ここ。』
ん?
ここが何処かより…
…もっと
『…あー』
…重要な、事が。
え、これもしかして
『…俺の声?』
それを理解した途端、頭の中がこの空白の世界のように真っ白になる。
…いやいやいや。
嘘だろ。
どういうことだってばよ。
さっき気づかなかったが、
いや、誰お前。
可愛いかよ。一目惚れするわ。
『え、これが……俺?』
改めて俺から発せられたその声は鈴のようなソプラノのような高い声…では決してなく、少しハスキーボイスであり中音域だが、可愛い女声だった。
見た目も当然変わっており、それはそれは、小顔で額が広く、髪は長髪の白に近い銀色で編み込みのハーフアップされていて、目はエメラルドグリーンでくりっとしてて大きく、鼻筋の通って、口元の締まった、まるで人形のような美しい顔立ちをしていた。
これが、ヒロイン属性とやらか。
胸は…いや、やめておこう。
いくら考えても意味がわからん。
自分の身に何が起きているのか。
どうしてここに居るのか。
何故、俺は女になっているのか。
…まあ、とにかく俺が男なら100%恋に落ちるであろう可愛い系の美少女になってた訳だわ。
いや、俺男なんだけど。
俺男なんだけd「ようやく目覚めたかね?」
大事なことなので2回言いましたみたいにしようとしてた所で邪魔してくんな。それにちょっと前から起きてたわ。
と思いながら声がした方を向く。
そこには白い服を着て白く長い髭を生やした仙人みたいな老人が立っていた。
まあ、きっと仙人なんだろう。
知らんけど。
とりあえず誰だお前。と聞こうとした。
失礼とか知らない。うん。
--だが。
その前に「神様じゃ」とめちゃくちゃドヤ顔しながら言ってきた。
なんだろう。
ものすごく
うぜぇ。
「…酷いなあ。ずっとここにおったのに。というかお主を起こしたのワシなのに…」と、口を尖らせ、ぶつぶつ文句を垂れるジジィ。
「…誰がジジィやねん。神様言うとるじゃろ。」
『…え。』
…俺、何も言ってないのに。
なんで分かるんだ…?
「そりゃあ…心の中が読めるからのぅ。」
はえー。まじか。
「そうじゃ。」
ふふん、と得意気に言う
…どうやら本当らしい。
まあ、俺が何も言ってないのに会話が成立してるあたりで、納得せざるを得ないんだが。
あ。そーだ。
それならいっその事心の中を読んd「それは面倒いから普通に喋ってクレメンス」『…ウィッス』
デスヨネー。
普通に却下された。
はぁ…仕方ねぇな。
んーーー…何から聞こう。
何せ今ん所突っ込みたい所だらけだからな。
まさにツッコミどころ満載ってやつだからな。
面倒臭いが…1つずつ聞いてくとしよう。
そう思いながら俺はため息を1つつき呼吸を整えた。
『…まず、…ここは?』
神「ここは、異世界じゃ。」
『でしょうね。』それ以外有り得ん。いや、あっては困る。
神「…まあ、“異世界”といっても、ここは、お主が元いた世界とそんなに変わらんぞい。」
ほれ、と言われ周りを改めて見てみると、先程の空白の世界が一面お花畑のような緑豊かな場所に変わった。
『…さっきのは?』
神「んーむ…待機場所、と言った方が正しいかのぅ。」
どうやら
なんか異世界にいきなり来ても混乱しない為に作ったとかなんとか。
…普通に混乱してるんですがそれは。
『はぁーー…』
神「そんなに溜息つかんでくれんかのぅ…」
『いや…馬鹿だろ』
神「辛辣じゃのお主は!」
その後も質問責めして、漸く自分がここに居る理由がだいたい分かった。
でも納得出来ない事だらけだけどな。
どうやら時空が歪んだとかでたまたま寝ていた俺が巻き込まれて、異世界へと連れていかれたという何ともハチャメチャな理由で俺はここに飛ばされたらしい。
そして、元の世界への帰り方が分からないから、今は元の世界に帰ることは不可能と断言された。
今は…ってことは後に帰れるかもしれないって事なんだろうけど、もしかしたら二度と帰ることが出来ないかもしれない。
…知らない世界に、独りになってしまった。
…あ、そういえば
『…まだ1つ聞いてないことがある。』
まだあるんか、と言わんばかりの顔をしてこっちを見る。
いやお前の所為だろ。俺悪くねぇからな。
神「…なんじゃ?」
『…俺がこの姿になってる理由だ。』
あー…と、ジジィは頭を搔いた後、髭を撫でながら口を開いた。
神「…それかの。
それはな…
ワシの好みじゃ☆」
ど突くぞ。
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