覚え書き
覚え書き。
気が付いたら一週間が過ぎていた。
…そして、それに気づいたことすらも忘れ、日常を送る。
少し前まで感じられていたものに、気が付くことすらなくなって…。
気が付いたことすらも忘れて生きていく。
今日が終わる。毎日が終わる。一生が終わっていく。
だから、せめて、私が生み出した、私だけの世界の事は覚えて置けるように。
私だけでも、覚えていてあげられるように。
私の感じた世界は、私しか知らないのだから。
猫かぶり。
「にゃ~」
私は猫だ。この世界を乗っ取るべく、人間の頭に覆いかぶさり、操っている。
今や世界は私たちの物で、誰も彼もが私たちをかぶっている。
あの人もこの人も。…そして、私が取り付いている宿主も。
私の宿主は毎日本心を押し殺して、ヘコヘコと頭を下げている。
それは勿論、私がどう動けば角が立たないかを指示しているからなのだが、どうも、最近、宿主の心情が優れない。このままでは潰れてしまうかもしれない。
私たちは侵略者であり、寄生者だ。宿主に死なれてしまってはかなわない。
だから、私は宿主の頭から離れた。
宿主は、初め、不安そうにしていたが、意を決したように、私をかぶらずに外に出ていく。
私は待った。ひたすら待った。
一日が、まるで、千秋のように感じられ、家の中を何度徘徊したことか。
そして、日が沈み切り、しばらくたった後、家の扉が開いた。
宿主は腫物が落ちたような顔をしていて。…外で何があったかは話さなかったが、それでも、後悔はしていないようだった。
その日から私はただの飼い猫だ。することと言えば、宿主の愚痴を聞いてあげるだけ。
宿主の頭には、新たに小さな子猫が引っ付いていたが、あの子では宿主を完全に支配するのは無理だろうし、心配はしなくてよいだろう。
…っと、宿主の足音が聞こえる。ご帰宅の時間らしい。
私が玄関に向かうと、丁度、その時、扉が開いた。
「にゃ~」
私は温かく、宿主を迎え入れた。
鬼の金棒。
「これ以上先には進ません!」
ぼろぼろになった鬼の一匹が、俺の足にしがみ付いてきた。
「…悪いな。これは戦争なんだ」
俺はその鬼の頭を銃弾で打ち抜く。せめて、楽に逝けるように。
俺は鬼の懐を探ると、何枚もの写真が出てくる。それは、見知った仲間が大事にしていた家族写真、見知らぬ者や、鬼の家族写真もあった。
きっと、この鬼も、俺と同じことを考えていたのだろう。
俺は、そのすべての写真と、鬼のドッグタグを回収すると、懐に忍ばせる。
どこかで、この思い達が、踏みにじられ、消えてしまわない事を願って。
欲求。
ドクン。ドクン。脈を打つ。
もう動かない心臓を嘲笑うかのように、私の胃が脈を打つ。
彼が欲しい。彼の温もりが欲しい。
彼の血が欲しい、肉が欲しい。
…一つになりたい。
ドクン。ドクン。脈を打つ。
空っぽの胃が私を動かす。
冷たくなった私を彼は受け入れてくれるだろうか。
じゅるり…。
私は唾液を拭うと、彼のもとへと歩き出した。
胡蝶の夢。
……。
また嫌な夢を見た。
毎日、毎日が同じことの繰り返し。
「夢だと分かっているのに、それでも恐怖で死ぬ事ができないんだ」
彼女は何も言わずに笑顔でその話を聞いてくれている。
「最後はいつも、疲れ果てて帰ってきて、布団に入ってお仕舞い。…でも、それで目が覚めるだけ、救いだけどね…。あんな世界にずっといたら狂っちゃうよ」
そう僕がぼやいた時だった。世界が閃光に包まれ、すべてが消える。
とっさに彼女が僕をかばってくれて…。
「…どうしたの?」
目を覚ますと、彼女が僕の顔を覗き込んでた。
「…ううん。なんでもない。……おはよ」
僕は身を起こすと、彼女の頬に軽くキスをした。
不意を突かれ、赤くなる彼女はとても可愛かった。
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※おっさん。の小話
おはこんばんにちは。おっさん。です。
短い話を詰め合わせてみました。特に意味はないです。
まぁ、それはさておき、長編の続きを書こうとしているのですが、書いては消しての繰り返しで進みません。
頭にもやがかかって、どうも納得できないからです。発想力、集中力が失われているせいだと思われます。
皆様からアドバイス貰えれば嬉しいですが、とりあえず、試しに新作上げて、調子を上げようかと思うので、良ければ見に来てください。
以上、本作には全く関係のないお話でした~。 お仕舞い。
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