悪夢 スマホ・枕・人形
トントン
誰かが私の頭を叩いてくる。
「なんだよもぉ…」
私は眠い目をこすりながらも枕から頭を持ち上げ、辺りを見回した。
「なんだ、クマ吉か。おはよ」
そこにいたのは人の形をしたクマ吉だった。
「って、そんなわけあるか!」
クマ吉はこんなカッコいい人間の形はしていない。
もっとモフモフとして、キュートなクマのぬいぐるみなのだ。
それに第一、クマ吉が一人でに動いて、私を起こすわけがなかった。
「あー。夢だ。寝よ、寝よ」
私は再び布団をかぶった。
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ピロリロリ~ン♪
今度はスマホから流れて来たメールの着信音で目を覚ます。
「なんだよもぉ…」
私は眠い目をこすりながらも枕から頭を持ち上げ、スマホを手に取る。
「眩しっ…」
スマホの画面を点けると、その光で目が
未だにチカチカする目を細め、メールの内容を読む。
『今日補習サボリ?』
友人からのメールだった。
私はしまった!と慌てて支度を済ませる。
この補習を逃せば単位が危ういのだ。
ご飯なんぞ食べている余裕はない!
「あ!行ってきますクマ吉!」
家を出る寸前、いつも通りぬいぐるみのクマ吉に声を掛け、家を飛び出た。
まだ間に合うはずだ!次の電車に乗ればまだ!
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「まだ、まだ間に合う…」
ベッドの中でそんな寝言を呟く彼女。
その横ではスマホから流れて来たメールの着信音が虚しく鳴り響いていた。
「えへぇ~。クマ吉ぃ」
未だに目覚める気配のない彼女。
そんな彼女にクマ吉は溜息を吐いて、美少年へと変身する。
そう!クマ吉の正体は彼女を魔法少女にすべく、精霊界からやってきた妖精だったのだ!
彼女の悪夢はまだまだ終わらない。
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「なんで大学生の私が魔法少女なんてやらなきゃいけない訳?!」
「それはちょっとした大人の需要…じゃなかった。事情さ!ほら!そんな事より怪人が来るよ!」
「あぁ~!もう!これは悪夢よ!さっさと倒して目を覚ます!かかってきなさい!怪人ども!へぇ~ん、しん!」
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※おっさん。の小話
はい、ギャグですね。
彼女が魔法少女になったのは夢なのか…。
夢でも現実でも悪夢には変わりありませんけどね…。
御目通し、ありがとうございました。
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