第18話 掘る



 翌朝。


 二人は、教会を訪ねる。


「おはよう御座います。」

 教会の正面で迎える神父。

「おはよう御座います。」

「おっはー。」

 二人も挨拶を返す。


「言われた物を裏に用意しています。」

 歩き出し、先導する神父。



 教会をぐるりと回ったところの壁に立て掛けてあった。

「じゃ、ペーターよろしく。」

「えーっ!」

 抗議。


「ほら、荷物いっぱいだし…。」

 言葉の通りにペーターの背中に荷物。背負い袋からはみ出ているのは、昨日の筒型の武器。


「私もいっぱいだし…。」

 白頭巾は大きなバスケットを抱えていた。


 神父の記憶では昨日はペーターさんが抱えていたはず。

 この中には銀の短剣がある? と言う事は、昨日戦った様な奴と戦う?


「ペーターなら大丈夫!」

 バスケットを置き、立てかけてあった穴掘り用のスコップをペーターに持たせた。

「もう…。」

 一応、抗議する。


「じゃあ、出発!」


 振り向き歩き出す二人の背中を、

「手伝います。」

 スコップを持つ神父が追いかける。



 三人は仲良く歩いて街を出た。


 スコップさえ無ければ、楽しそうなピクニック見えただろう。



 神父は、この道がたどり着く場所を知っている。


「墓地ですか?」

「そうよ。昨日、街で聞いたの。」

「墓地で何を?」

「う~んとね。」

 少し考え、

「墓暴(はかあば)きかな?」

 聖職者を前で聞ける台詞では無いのは確か。

「は、墓暴き!?」

 驚く神父。

「ほら、私達が来る前に二人の犠牲者が出たんでしょ…。」

「そうですが…。」

「死体の状態を確認しないとね。」

 昨日の事を思い出し、

「そうですね…。」

 それだけ答えた。



 墓地に到着。


「神父さんなら、埋めた場所解るでしょ。」

「はい。私が埋葬の時に立ち会いましたから。」

「どっちから…。」

 首を傾げ考え、

「新しい方からにしましょ。何処かしら?」

「こっちです。」

 神父が案内する。



「此処です。」

 お目当ての墓地の前。


「ペーターよろしくね。」

「はぃ…。」

 あまり、乗り気では無いらしい。


 荷物を降ろすと、スコップを構え地面に突き刺す。


 少し遅れ、神父も同じ様に掘り始めた。


 掘り始めたのを確認すると、白頭巾はバスケットを降ろし、中の物を取り出した。


「ご主人様…。」

「何かしら?」

 ペーターの方を見ないで、取り出した物を身に着けていく。

「何で、その装備が必要なんですか?」

 ペーターの方を向き、

「だって、掘る音で起きたら要るでしょ。」

「えっ!」

 ペーターと神父が同時に驚く。

「起きるって…、死体が?」

「決まってるじゃない。感染していれば確実に仲間よ。」

 ペーターは神父を一度みてから白頭巾に向き、

「僕達、大丈夫なんだよね。」

「大丈夫よ。」

 安堵するペーター。

「殺られる前に逃げれば、問題なし。」

 ペーターと神父の手が止まる。

「手を止めないで掘る。後一つ有るんだから。」

 白頭巾は、やはり容赦無かった。


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