高校の私と俺の日々
@Retorooooon
第1話 遭遇
三月の高校入試が数日前に終わり少し浮かれていたのもあって卒業式練習の後、俺は少し遠回りで帰っていた。
彼女と出会ったのはそんな日だった。
俺 「あぁ、今日暇だなぁ」
卒業式練習後の脱力感に襲われ何か興味の引くものはないかと視線を巡らしていると、それほど広くない公園にポツリと一人の少女が立っているのが見えた。
よくよく見てみると制服を着ていて年は俺より少し上なので高校生くらいだろうか。
だがもともと友達の少ない方の俺が知らない女子に話しかけるはずもない。
俺 「というか、意味ないしな」
と言いつつ通り過ぎると、後ろから誰かの声がした。
彼女 「もしかして黒瀬君?」
振り返るとさっきの女子がいた。しかし呼ばれた名前は俺の名前ではない。きっと塾の友達とでも間違えたのだろう。
俺 「すまないが、人違いだと思うぞ」
そういうと彼女は一瞬悲しそうな顔をした後、慌てたように、
彼女 「ごめんね!人違いだった!恥ずかしいなぁ。じゃあ、本当の君の名前は?」
俺 「本当も何も間違えただけじゃないか、まあいいが。だがどこの誰かも知らない奴に教える名はないな」
彼女 「えー!なんか友達いなそうな性格だなぁ。今知り合ったのだからいいじゃない、それに何かの縁だと思わない?」
ひどい言い草だ。否定する気はないが。
俺 「乗せられるのは好きではないが…。月山宗介だ。覚える必要はないぞ。」
彼女 「……ふーん、そうなんだ」
と神妙な顔をする彼女に違和感を覚えたがそれほど気にする必要はないだろう。
それから考え込んでしまったので帰ろうとすると、
彼女 「待って!まだ終わってないから!今考えてるから!」
月山 「何が終わるんだ。悩むくらいなら帰らせてもらうぞ。」
彼女 「オーケイ、分かった分かった、今話すから」
となぜかアメリカっぽい言い回しで俺を止めると、こう言ったのだった。
彼女 「月山君、あなた高校では陽炎研究部に入って!」
なんだその摩訶不思議な部活は。そんな部活あの高校にあっただろうか。
というかまだ合格発表はされていないので考えるのはそれからでもいいだろう。
月山 「運動部に入る気はないがその訳の分からない部活に入る気は無い」
彼女 「それは困るなぁ。……ん?」
と言いおもむろにスマホを取り出すと顔色を変え、
彼女 「ごめん!もう行かなきゃ!…頑張ってね」
というと走って行ってしまった。
月山 「何を頑張れってんだ」
彼女のいうことに惑わされながらも、もう随分と時間が経ってしまったのでひとまず家に帰った。
それからすぐ高校の合格発表があった。そこですぐに自分の番号が書かれていたのを見つけほっとしたが嫌でも公園で出会った女子に会うことになりそうだ。
そして卒業式…といっても何か起こるわけでもなくなんなく終わった。
友達 「もう卒業かあ、寂しいなあ、宗介」
月山 「お前は俺と同じ高校だろ、
俺の友達の流川文也は好奇心の塊みたいなやつで最近は科学分野に凝っているようだ。卒業式のあと時間があったので話していた。
流川 「それはそうだけどさ。寂しいとは思わないかい。三年間ずっと過ごしてきてやっと慣れてきたっていうのに。まあ高校はもっと楽しそうだし俺もそこまで気にしてないけどね」
と流川はさらっと言った
月山 「そうか?俺にはよく分からんが。それに高校も中学もそう変わらないだろ。期待しても損するだけだぞ」
流川 「知らないのかい。僕が聞いた話によると菊月高校にはこの中学にはいないような入学生たちがいるっていう話で盛り上がってるんだよ」
月山 「そうなのか。そんなめんどくさそうな奴らとは関わりたく無いな」
と公園で出会った失礼な女子を思い浮かべながら嫌々そうに言った。
流川 「そんなこと言っちゃって。宗介も大概だと思うんだけどな」
月山 「やめてくれ。そんな奴らと一緒にされても困る」
流川 「だって宗介って他人と関わろうとしないから、僕がいない時とかずっと一人狼だよね」
月山 「どうしてお前がいない時の俺を知っているんだ」
流川 「知ってるも何も周りの雰囲気を感じないのかい?よく言えばクールって感じだけれど度が過ぎるてるよ!」
月山 「いいだろ。もう卒業したんだし。それに高校に入ったら変わる奴もいるだろ?高校デビューってやつだ」
流川 「僕はそうなることを望んでるよ。他の人たちとの化学反応も見ものだね」
とニヤついて笑う流川に少しムカついたがまあいいだろう。
月山 「そろそろ行こうか。ここにいてもしょうがない」
流川 「そうだね。これから春休みだ。とことん遊ぶのが楽しみだね」
月山 「そうかい」
そういって話を終え卒業式の日が終了した。
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