深夜に電話

 家に帰ってから俺は激しく後悔していた。


 なんという度量の小さい男だ俺は。

 休日土曜日で、あれだけ混んでいたのだ。

 あんなにがんばってくれた彼女は褒めるべきで、怒る対象じゃないだろう。

 と。


 もう彼女は許してくれないかもしれない。

 でもこのまま終わるのだけはだめだろう。


 これで最後にしよう、彼女に何と言われても謝るだけ謝ろうと、頭の中で繰り返しながら、俺はキーパッドに自分の番号を打ち込んだ。


 『通話または通信中』が表示される。


 でてくれ……たのむ。

 祈りはするが、短気な俺を天はまだ許していないのか、なかなか、表示は変わらない。

 やっぱり、あんなに言ってしまった相手だ。出たくないよな。

 俺が半ばあきらめかけていたその時……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る