#2 強靱種による強制異動方法、もしくは技術研究会の罠

§12 授業が終わって放課後に

 地理の授業を受けつつ色々考える。

 授業そのものは元の世界と似たようなものだ。

 国語、古文、歴史、地理、算術、生物、星学、地学、摂理学。

 摂理学というのは物理と化学と数学を全部足したような学問だ。

 数学の文章題は摂理学に入り、算術は計算専門。

 その辺の分類は今一つ納得がいかないが、まあ仕方無い。


 そして大体の知識はレマノが憶えていたから復習感覚。

 ただ特に摂理学の教科書を見て感じたのだけれど、この世界は教養水準はけっこう高いのかもしれない。

 少なくとも方程式とか確率とかは存在する。

 その辺も落ちてきた人達の生み出したものなのだろうか。


 この世界全体の事も大分理解してきた。

 この世界は地球と同様の球体でほぼ同じ大きさ。

 重力も物理法則も俺がわかる範囲内では同じ模様。

 世界地図を描くと赤道側が太い巨大な大陸が一つと、その周辺の島々という形。

 今俺がいる国は大陸の西岸、中緯度付近にある島国だ。


 海洋は地球よりも荒れているらしく、大型船でも大陸へ行ける確率は三割以下。

 必然的に外航船はほとんど存在しない。

 従ってこの国は実質鎖国状態という訳だ。


 大陸も内陸のかなりの部分は砂漠化し、大国は存在しない状態らしい。

 島と大陸の沿岸、あとは大陸に数本流れる大河川周辺に人類は居住している模様。

 そして各国とも交流はあまり無い模様。


「大陸移動していなくて、かつ海路が使えない地球と考えればいいのかこれは」


 ただこの世界には他にも文化促進の因子はある。

 俺もそうだが落ちてきた人の知識だ。

 書物が一般的になったのも活版印刷という考え方がかなり早期から広まったせい。

 まあその下地に紙を量産できる文化があったという事もあるのだけれど。


 なお今授業でやっているのは扇状地とか三角州の原理と実際の地形の所在。

 原理は元々俺の頭に、そして実際の所在はレマノがほとんど憶えている、

 だから色々妄想を思い浮かべつつも授業についていくのは楽勝だ。


 十の鐘PM2:30が鳴った。

「それでは授業を終了する。各自範囲内は復習しておくように」

 そう言って教師は広げていた教科書やノートをたたみ出ていく。

 十の鐘は日本時間で言うところの午後二時半。

 これから二刻2時間が放課後、課外活動なり何なりの時間だ。


「ところで課外活動、何か部活とかやる?」

 ラインマインにそう聞かれる。


 この学校、一学年たった三十六名しかいないのに部活は十種もある。

  ○ 魔法活用研究会

  ○ 技術研究会

  ○ 地理文化探求会

  ○ 摂理研究会

  ○ 文芸愛好会

  ○ 絵画愛好会

  ○ 音楽研究会

  ○ 新・音楽研究会

  ○ 漫画愛好会

  ○ 身体強化同好会


 ちなみに音楽研究会が二つ存在するのは伝統音楽と軽音の違いらしい。

 あとこの世界にも漫研があるのはなんだかなあという気がする。

 入る気は無いけれど。


「ラインマインは何か決めた?」

「うーん、私力はあるけれど不器用だからなあ。魔法も使えないし」

 ちなみに俺も当然魔法は使えない。

 魔法の使用方法などはレマノの知識にあるのだが、俺は発動出来ないようだ。

 何度か一人で試してみた限りでは、だけれども。

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