第2話
助っ人ことプレイヤー名『レイ』は、とんでもない上級者だった。とにかく動きに無駄がないのだ。
「ちょ、マジで強すぎだって! ハンパないって!! プロだよプロ!!!」
俺は興奮して一人でしゃべりまくっていた。
結局、俺達のチームは二〇チーム中五位という、プレイヤーが三人だった割には中々の好成績で終わった。
「ごめん、これから塾だから抜けるね」
そう言って
「何か音楽聴いてる?」
先ほどは銃声や爆発音が響く中で夢中で戦っていたので気付かなかったが、ヘッドフォンの奥で薄く音楽が流れていた。
なんとなく知っているメロディに似ている気がする。
「あぁ、マイナーなバンドだから知らないと思うけど」
そう言ってレイは音楽のボリュームを上げた。あ、これ俺の好きなヤツだ。
「知ってる知ってる。ちょっと前にさ、深夜アニメのオープニング歌ってたよね」
「そうそう! あれアニメ自体もマニアックだったから、僕の周り誰も知らなくてさ」
「そうなんだ。言われてみれば俺んとこもあんまり話題になってなかったかも」
話をしてみると、俺達は普段聴いている音楽や観ているアニメの傾向が似ていることがわかった。
「最近さー、ネットで色々探してるんだけど、コレっていうのが無くてさ」
一応、俺はトレンドに敏感な男子高校生なので、流行りの音楽は一通りチェックしているのだ。
「じゃあ僕のオススメで良かったら紹介するよ」
レイは、いくつかのアーティストを教えてくれた。
「そろそろ落ちるわー。今日は色々とありがとなー」
気付けば日付が変わっていたので、俺も切り上げることにする。
「うん。かなり上達したから、明日からは一人でも大丈夫だよ」
「マジで? でもさー、まだちょっと扱いにくい武器があってさ。明日も時間あったら教えてくれない?」
「いいよ。僕、大体いつもこれくらいの時間帯にはログインしてるから」
俺はレイにIDを教えた。これで友達登録をすれば、お互いにログインしているかどうかが分かるのだ。
「また明日なー」
そう言うと、俺はゲームからログアウトした。
その日の夜、俺は早速レイに教えてもらったアーティストをネット検索した。
最初は普通に一回流して、次は歌詞を見ながら聴くのが俺のスタイルだ。
どの楽曲も、俺のツボを押さえていて絶妙なチョイスだった。俺は特に気に入った曲をお気に入りに登録して、再生したまま寝た。これで翌日には完璧に歌詞が頭の中に入っている。
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