新涼灯火

心ここにあらずで

読み進めていた物語

ページをめくる手がとまる


命の幕引きを押しつけるように

鳴り響いていた蝉の声

直視するのも憚られるような

眩しさを誇っていた向日葵


移ろうタイミングを

見失った夏が宙に浮いている


――秋冬は星が綺麗にみえるよ


君の横顔を思い出し、

気持ちはようやく秋に着地する


涼し気な灯りの下で

私はふたたびページをめくった

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