宇宙の運送屋

暗黒星雲

第1話 ストライク運送店

「おい鳥頭、奴らまだついてくるのか?」

「そのようですね。船長」

「しつこいな」

「ですね」

「やはり荷が問題なのか……」

「それ以外考えられんでしょ。どうしますか?」

「勿論運ぶさ。何があってもな」

「そうでなくっちゃね。自分達は何でも運ぶストライク運送店ですから。信用第一です」


 ここは宇宙のど真ん中。

 彼らは銀河中をすっ飛んで荷物を届ける運送屋。


 今、少々マズイ事態になっている。

 彼らの船“ストライク”が連合宇宙軍の艦艇に追跡されているのだ。


 問題は積み荷。

 黒髪の美女と金髪の女児、そして黄金の女鹿。

 人間二人はいかにも高貴な身分と言って良い風体をしている。そして珍しい黄金色の鹿だ。どこぞの貴族だろうか。荷と言って良いのか疑問な積み荷である。

 しかし、追跡されているのは事実。しかも、この荷が原因としか考えられない。


「船長、ロックオンされました」

「この距離でか?」

「ビーム砲来ます」

 ビームは船体を掠めた。

「シールドに接触。損害はありません。また来ます」

 今度は大きく外れる。


 追いかけてきているのは連合宇宙軍の巡洋艦だ。この“ストライク”にも武器は積んであるが、まともに撃ち合っては勝ち目はない。万一勝ったとしても連合宇宙軍から指名手配されてしまう。それだけは避けたい。


「次は当ててくるぞ」

「船長。そんな暢気な」

「アセンションでかわす。用意しろ」

「出来てます」

「今だ」

「了解」


 鳥頭の操作で船は虹色の光に包まれる。次元昇華した。

 同時にビームが船体を貫くがダメージを受けることはない。


「このまま跳躍ジャンプだ」

「何処へ行きますか?」

「目玉だ。姑息だが他の星へ行くように見せかける」

「プロキシマ・ケンタウリbですね。了解しました」


 更に高次元へと昇華した“ストライク”はプロキシマケンタウリbへと向け跳躍ジャンプした。

  

 プロキシマケンタウリb。

 

 アイボールアースと呼ばれる特異な天体へ向けて。 

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