第6話 ちゃんと2時には寝たのに
「ふーん・・・大変ねえ・・・演技や厨ニ病なら良いけど・・・狐憑きとかなると流石に心配ね」
明菜が困った様な顔で言う。
「明菜、昔オカルトにハマってたって言ってたよな。詳しいのか?」
「私が集めていた情報は、事実ではないわ。もし実際に怪現象が起きているなら・・・それは私の知識では役に立たないわ」
明菜が手を前に出し、指をクロス。
そこに炎が灯る・・・そんなイメージが幻視される。
「想像の中で魔法を使う事はできる・・・でも、それは所詮ただの空想。実際に人を傷付けたり・・・そんな事はできないわ。実際に人格が変わって、それが怪現象なら・・・理解の範疇を超えるわね」
「危ない!」
思わず、叫ぶ。
明菜の指の先の炎が、チリっと髪の毛を焦がす。
「きゃっ」
パタパタ
慌てて手を振る明菜。
片目をつむり、涙目で、
「無論、ただの幻想でも、強い思い込みが有れば現実で傷つくわ。うう・・・髪の毛の先がチリチリに・・・」
「だ、大丈夫。ワンポイントで、可愛いよ」
「うう・・・有難う」
ぽふ
明菜がもたれかかってくる。
頭を撫でてやりつつ、
「まあ・・・今日の放課後、うちに来て欲しい」
「ん、りょーかい」
まだショックが抜けないのか、顔をこすりつけてくる・・・いや、これ多分眠いだけだな。
「昨日、寝てないのか?」
「ちゃんと2時には寝たのに・・・眠いよ・・・」
「・・・それは、寝るのが遅いと思うよ」
まあ、仕方が無い。
明菜に肩を貸してやりつつ、学校への道を急いだ。
--
シュッ
俺がスローしたボールが、ゴールに入る。
また3点。
96対0。
相手が0は良くある風景だが、普段はここまで点差は開かない。
敵チームは俺を避けてパスを回そうとするが、
ぱし
明菜がカット。
ひゅ
そのままスロー。
また入った、3点。
明菜と俺が同じチームになったのだが・・・予想外に明菜が良い動きした為、凄い結果になっている。
「・・・黒森と白谷は、今後別のチームな」
体育教諭が呆れた様に、恣意的なチーム分けを宣言する。
「ははは・・・」
明菜が苦笑いして、頬を掻いた。
--
「龍生〜お腹空いた〜」
お昼休み。
明菜が、後ろから覆い被さってきた。
「はいはい」
後ろ手を回し、明菜を撫でてやる。
で、そのまま立ち上がる。
「ねえ・・・」
結羅が話し掛けて来た。
「ん、どうした?」
・・・今は一刻も早く食堂に移動する必要があるので、出来れば後にして欲しいが・・・
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