第11話 城壁の中で
ハヤトもといシャイン達、3人は竜達と別れ目の前にそびえる城壁に向かっていた。
のんびり歩きながら入口近くまで近づくとその周りが人でごった返していた。
「なんであんなに混んでるんだ?なんかあったのか?」
人の多さに驚いたシャインは横に立って歩くジェミニを見上げながら問う。
「いや、いつもあんな感じだぞ。まぁ、私達はここからは入らんがな。」
そう言って3人はそのままごった返す入口を通り過ぎ、ジェミニはずんずんと城壁の壁面に向かった。
やがてジェミニは足を止め壁を指で軽くノックした。するとその壁に切れ目が現れ扉の様に開き、中から銀色の甲冑を着込んだ衛兵の様な男が出てきた。
その扉は壁の色と完全に同化して気づかないほどであった。
扉の中から出てきた衛兵の様な人はジェミニを見て少し呆れた様に言う。
「ジェミニ様、こちらからは入れないと前も申したはずですが……。」
「すまない。緊急の用事で急ぎ城に向かわねばならないんだ。」
そう言ってジェミニはポケットから銀色の硬貨を衛兵に渡す。
受け取った衛兵は渋々、ジェミニ達を扉の中に招き入れた。
中は以外に小綺麗で3畳ほどの小さな小部屋になっていた。そして横壁には地下へと降りる階段が備え付けられていた。階段を降りると広い通路の様になっていて道が2手に分かれていた。
「シャイン、絶対に私から離れないでくれ。1度迷うと出れなくなる」
そう言ってジェミニはシャインに手を差し伸べた。手を繋げという事だろう。シャインがジェミニと手を繋ぐと今度はエリーがシャインの反対の手を取った。シャインが驚き見上げると姫様はにこりと微笑みを返した。
完全に子供扱いされているシャインであった。
ジェミニが当初、言っていた様に中は1度迷うと出れなくなりそうなほど右へ左へ、上へ下へと移動していく立体迷路の様になっている。
やがて階段を登る先に光が見えたシャインは走り出そうとしたがジェミニとエリーに手を掴まれていたため宙ぶらりん状態になりジェミニは呆れたながら言う。
「シャイン、お前は出口を見たらすぐ走り出す癖を治せ。あとフードを被れ、お前の髪は目立ちすぎる。」
シャインは城壁の入口でごった返す人達の中にも黒髪はいなかった事を思い出した。
ジェミニはシャインのフードを手に取り深く被せた。
そしてまたシャインの手を取り階段を登り始めた。
階段を登りきるとひっそりとした路地であった。
「ここは城の裏側の商業地区だ。私の実家の店も近くにある。」
ジェミニは説明しながら路地を抜けた。
路地の先には城壁の入口とは比較にならないほどの人で溢れかえっていた。
いつの間にかジェミニとエリーの二人もフードを深く被り、その足を城の方へと向け足早に歩き始めた。
ごった返す人の波の間をすり抜け、城へ向かった3人は驚くべき光景を目の当たりにするのであった。
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