第8話 現実と呪い
目を開けると目の前にはジェミニの顔があり目が合った。
「エリー、ハヤトが起きました。」
ジェミニがそう言うと近くに座っていたのか姫様が立ち上がり近ずいてくる。そして横たわるハヤトの横に腰を下ろし手をかざした。
かざされたその手から光の筋が伸び手の前で魔法陣のように広がっていき、今度はその魔方陣から青色の細い光の糸の様な物が溢れ出てハヤトはそれをみて顔を強ばらせたがその糸のような物はなんの躊躇もなくハヤトの体を包み込んだ。青色の細い光の糸はハヤトの体に巻きついていき巻きついた箇所から徐々に魔力をハヤトの体に流し込み始めた。流し込まれる魔力は暖かく強ばっていたハヤトの顔も徐々に和らいでいった。
しばらくするとハヤトの体に巻きついていた青色の光の糸はゆっくりと魔法陣の中に戻って行った。やがて糸が完全に魔法陣の中に消えると姫様の手の前にあった魔方陣もその姿を消した。
「ありがとうございます。城での時も姫様が治してくれたのですね。」
ハヤトがそう言うと姫様は誇らしげに胸を張って頷きながら起き上がろうとするハヤトを起き上がらせないようにぎゅっと地面に押し付けた。
「…にしてもよくキングウェアウルフの亜種を前にしてあんなに堂々としていたものだ。あいつはC級中位のモンスターだぞ。ゴブリン程度で逃げ回っていたお前では相手にもならんかっただろうに。やはりこれのおかげか…?」
素直に驚きながらジェミニは横に置いてあったあの青い刃のロングソードを手に取り鞘から引き抜いた。
それを見ながらハヤトはつぶやくように言う。
「多分そうだろうな…。それを持った時、落ち着くってかなんていうか…。ってかそうじゃなきゃあんな化け物と戦えないよ。」
鞘から引き抜かれたロングソードはジェミニの持つ松明の光に照らされ、その青い刀身を美しく光らせている。
「私は魔剣の類だと思うんだが…。まぁ、私もエリーも鑑定スキルは持ってないから街に行かねばなんとも言えないんだがな。」
そう言いながらジェミニはそのロングソードを鞘に収めた。
「とにかく急ぎましょう。あまり長いするのは得策では無いですから。」
そう言って姫様が立ち上がり横になっているハヤトに向けて手を差し伸べた。
姫様の手を取ろうとしたハヤトは距離感を外してその手を逃した。
「ハヤト様…大丈夫ですか?」
心配そうに覗き込む姫様にハヤトはふと違和感を感じた。
(姫様ってこんなに大きかったけ…。)
不思議そうにしているハヤトを見たジェミニは微笑を浮かべながら近ずいてきた。
「なんだ気づいていなかったのか?」
そう言ってジェミニはハヤトを抱き上げ立たした。ハヤトは姫様よりも頭1つ大きかったはずが今となってはかなり小さくなっている。実際、姫様の胸に届くかどうかといったところだ。
「嘘だろ…。」
そう呟いたハヤトはさっき落ちた水に顔を写した。
そこに映っていたのは小さくなったハヤトの顔であった。
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投稿が遅くなり申し訳ございません。
本日、急に妹がうちに来たもので投稿出来ませんでした。
よろしくお願いしますm(*_ _)m
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