第3話 見知らぬ部屋で
目の前には知らない天井。
体の痛みは引きむしろ体調が良いくらいである。辺りを見渡すと豪華絢爛な部屋そして横を見ると見たことの無い女の子が俺の寝ているベットに突っ伏して寝ている。状況的に見てきっと俺はあの後この部屋に運ばれたのだろうそしてこの爆睡している女の子がきっと看病してくれたのだろう。女の子は整った顔立ちに腰くらいまであるそうな長い金髪が窓から差し込む光に照らされキラキラと輝いていてとても美しい……のだが口からヨダレが垂れている。うん、残念美少女である。
(そういえば梨花は大丈夫だったかな…?)なんて思ってると寝ていた残念美少女がビクッと体を震わせ顔をあげた。じっと見つめる俺の視線に気がついたようでこちらを向いたと同時に慌てて口元を拭い顔を真っ赤にしながら部屋を駆けて行った。
部屋に1人取り残された俺はベットに寝っ転がった。
しばらくして先ほどの残念美少女とあの国王が入ってきた。そして国王が口を開く。
「すまんな。娘が粗相をしたそうで。」
隣の残念美少女が俺に向けて頭を下げながら言う
「エリーナ・ダンデスベルでございます。先ほどはお見苦しいものをお見せしました……申し訳ありません。」
「いえ、全然。こちらこそこんなに良くしてもらって……ありがとうございます。」
俺はベットの上から頭を下げた。
「まぁ、取り敢えずはゆっくりしてくれ。間違いとは言え、そなたを召喚したのは紛れもなく我が国であるわけだ。詫びにもならんかも知れんが当家が出来ることは出来るだけ力になろう。」
国王様はそれだけ言い残して部屋を出ていった。
1人部屋に残った残念美少女が口を開いた。
「……あ…あの、なにか私にお手伝い出来ることはないでしょうか?」
残念美少女改めて残念姫様が顔を赤らめながら聞いてきてくれた。残念とはいえ、姫様を使うのは少々気が引けたがせっかく聞いてくれたのでその好意に甘えることにした。
「では、この世界について教えて頂けますか?」
俺がそう聞くと姫様は金髪を揺らしながら喜んで!と満面の笑みを返して部屋を出ていった。
しばらくするとかなり分厚い本をヨタヨタしながら持ってきた。後ろから侍女であろう格好をした背の高い女性が「私が持ちますから。」と言ってついてくるが姫様は聴く耳を持たないようでそのままヨタヨタと俺の寝ているベットに近ずいてくる。こけそうだな。なんて思っていると案の定、派手に転んだ。姫様が持っていた、かなり分厚い本が宙を舞い俺の方へと飛んでくる。ベットに完全に体を預けていた俺は本を避けれずに顔面で受け止めた。
目の前がグラグラと揺れ意識が朦朧して姫様の「きゃぁぁぁぁぁ、ハヤト様ごめんなさい!!」と言う声と共に星が見え俺は意識を手放した。
その後、目を覚ました俺は手厚いもてなしを受けた。
(いつまでも世話になるのは気が引けるな……。)
そんなことを思いながらベットに入った俺が次に目を覚ました時、周りは見たこともないツタの生えた石壁に囲まれた部屋であった。
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