通りすがりの...
今日はぴょんきちの命日だった。
今朝は特に早く起きて、いつもより気合を入れてお墓の手入れをした。
ぴょんきちが死んでから毎日欠かさずにやっている。
「お母さん、行ってきます!」
母「タケル、気をつけてね、行ってらっしゃい!」
母に見送られながら、心の中でぴょんきちにも行ってきます、といいながら家を出る。
いつも通りの通学路。4月に入学した時にはドキドキしながら歩いたものだが、もうその新鮮さも感じない。
いつもの調子で歩いていくと、そろそろ黒猫が日向ぼっこをしている場所に出る。
「お、今日も気持ちよさそうだな!おはよ!」
と、猫に向かって声をかける。
黒猫「なぁーお」
気の抜けた鳴き声で返事をしてくれる。最近返してくれるようになったので、内心めっちゃ嬉しい。
「タケルじゃない、どうしたの?気持ち悪い顔して」
あっていきなりこんな失礼なことを言うのはミツキ。中学の3年のクラスが1緒で、同じ高校に受かっていた。
タ「別にそんなきもい顔してないだろ、心外だな」
ミ「え……自覚なかったのね…残念ながらこの世のものとは思えないくらいえぐい顔してたわよ……」
とオーバーに肩を落とす仕草をして見せるミツキ。
まじふざけてる。
タ「そんなことよりどうしたんだよ、今日は早いじゃないか」
ミ「気分よ気分。って、言って他の日と比べてそんなに違わないわよ…」
ミツキは呆れたようにため息をついて見せた。
タ「嘘つけ、お前が超がつくほどの遅刻魔だってことは全学年がしってる事だぞ」
ミ「げっ、それは嘘でしょ?そんなわけないじゃない、やーねー!」
わははと笑い飛ばすミツキ。
タ「…………」
ミ「ね、ねぇ、嘘…でしょ……?」
ミツキの顔は引きつっていた。
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