10章 さようなら

 きしとひめさまは、ひっしにもりからにげました。


 へいたいたちは、ひっしにきしとひめさまをおいかけておりました。


 へいたいたちはなんにんもおり、きしとひめさまはおいつめられました。


「もうこのみちしかない」


「きしさま……!」


 ひめさまは、なきそうになりながらきしをみつめます。


 きしはひめさまのめをみると、はっきりとこういいました。


「おまえはもう、ひとりでいきていけるはずだ」


「えっ?」


「わたしはここで、へいたいたちをくいとめる」


「そんな……!」


 めになみだをうかべるひめさま。


 それでも、きしはうごこうとしませんでした。


「おまえはじゆうをねがった。なら、はしれ。そのあしではしって、じゆうをてにいれろ!」


 きしはひめさまにせをむけると、もりのなかへときえていきました。


 のこされたひめさまは、きしにこういいました。


「さようなら……きしさま」


 そしてもりのそとへと、はしっていきました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る