11章 あめのふるなか

 それからみっかのこと。


 ひめさまは、ちかくのいえにとめてもらっていました。


「ひめさま、ごはんでございます」


「ありがとうございます」


 いえのもちぬしであるおばさんは、ひめさまにやさしくしてくれていました。



 そのよる。


 きゅうにあめがふってきました。


「ひめさま、おふろへどうぞ」


「ありがとうございます」


 けれど、ひめさまはおふろにはいろうとしませんでした。


 そのときです。


 がたりと、げんかんからおとがなりました。


「どなた?」


 おばさんがげんかんをあけます。


 すると、そこにはきしがたおれていました。


 くろいよろいをみにつけた、きしでした。


「きしさま……!」


 ひめさまはきしのもとへとかけつけます。


「おまえか……。すまない、しんぱいさせたな……」


 きしはふかいきずをおい、ことばをはなすのもつらそうでした。


「もううでがうごかない……。おまえにかおをみせたいんだ。このかぶとを、とってくれ……」


 きしはちからをふりしぼって、ひめさまにおねがいごとをしました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る