2:36

 毎年、文化祭では演劇部が劇を披露するんですが、その台本を私たち文芸部が執筆しています。


A

「頭痛いわね~。創作物は敬遠されて観客が少なくなるし、だからといって誰もが知っているおとぎ話じゃ目新しさがないし……」


「だいたい演劇部の部長って女ったらしの噂があるから、考えなしに王子様役をやらせるのもな~んかしゃくさわるのよねぇ~」


「だったらぁ~いっそのことお姫様役をやらせればぁ~? とりあえずプロットA、B、二つ考えたけど」


AB

「「えっ!?」」


※プロットAの場合


― 文化祭当日 ―

演劇の題名は『怒気! 男だらけの灰被りの少女』


姉A(柔道部部長:胴着姿)

「くぉ~らぁ~! シンデレラぁ~! てめぇちゃんと掃除をしているのかぁ!?」


シンデレラ(演劇部部長:ボロボロのドレス姿)

「ひゃい! ひゃだいまぁ~!

(ど、どうなってるんだぁ? リハーサルと全然衣装と口調が違うじゃないかぁ!?)」


姉B(剣道部部長:防具姿)

「なんだぁそのへっぴり腰はぁ~! もっと腰を入れて雑巾がけせんかぁ~い!」


シンデレラ

「わ、わかりまひたぁ~」


継母(応援部部長:学ラン姿)

「おうおめえらぁ! 城の舞踏会へカチコミ行くぞぉ!! 掃除もできんシンデレラはおとなしく正座じゃぁ!」


姉AB

「押忍!」


シンデレラ

「お……押忍」


― 舞台の袖 ―


A

「さっすが武道系の部長! 演技にたましい入っているぅ~」


「観客にもウケがいいみたいね」


「そしてとどめは……っと」


― お城の舞踏会 ―


王子(相撲部部長:まわし姿に頭だけ王冠)

「おおっ! なんと美しい姫でゴンス。俺と相撲……いや、踊るでゴンス」


シンデレラ

「い、いや、遠慮しま……」


王子

「そうれぇ~まずは突っ張りでゴンスゥ~」


シンデレラ

「ぎゃああぁぁぁ!」



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