count.2 手遅れの結末

失言という名の爆弾投下を後悔した俺は、詫びだっつってもう一度だけ沙樹を誘った。


向こうもきまりが悪かったのか、気まずそうにしながらもYESの返事を貰えた。


当日、沙樹はまた突拍子もないことを言い出した。


行きつけのゲーセンでクレーンゲームを弄ってる最中に、ボソッとだ。



「誰でもない人になりたいな」


「へ?」


「私、誰でもない人になりたい。そうすれば、死ぬのを怖がらずに済むかもしれないじゃない?」



俺にはその意味は解り兼ねた。


けど、何か重要な意味でもあるように感じられた。



それからそう間を空けずして、沙樹が発作で苦しみ始めた。


沙樹は救急車で運ばれた。


搬送中、俺はただただ何もできずにいた。


病院で、到着した沙樹の母親に怒鳴られることを覚悟していたが、逆に感謝された。


妙な親子だ。


集中治療室の前で、俺はさっきの沙樹の発言を反芻していた。



『手遅れの結末』

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