彼岸のアメンチア〜ストーカーと死にたがりの僕〜
世淮ひとみ
prologue 蛙の手 *
人を殺した。
あんな卑猥な存在は、意味もなく価値もなくただ苦しんで死ぬべきだ。
騒がれると面倒なので、初めに喉を潰した。
そして目を抉った。特に意味は無かったが、これは■■が以前クズを制裁する際にやっていた事なのでやってみた。
次に下品に晒していた自慢の美脚とやらに、縦にスーッとナイフで線を引いた。簡単に皮膚が裂け、傷口からプックリと滲んできた血は反吐が出るほど汚らしいものだった。
その後は、何度も自分の出せる最高の速度で身体中を裂いて、掻き回してやった。喉から漏れる声にならないヒューヒューという音は、とても耳障りで不快だった。今度からは耳栓をした方がいいかもしれない。
手に飛び散ったあたたかい血液と臓物の感触が今でも手に残っている。その感覚が蘇る度に『■■を守れたのだ』という実感が湧いてくる。■■も自分の事が好きなはずだ。絶対にそうだ。それを考えると、左右のこめかみ辺りから痛い位の快感が駆け上って来て、意識が飛びそうになる。
きっとアイツを殺したことも褒めてくれるだろう。次に会った時は報告してみようと思っている。
■■を思い浮かべる。
可愛くて、強くて、気高くて、凛々しくて、見ているだけで頭がおかしくなりそうになる。■■の透き通る様な肌、切なげな瞳、華奢な体躯、美しい顔。そして繊細な指先。
あの指に触れられたならばどうなってしまうだろう?今、自分の指は■■の指だ。■■の指先に愛撫される妄想で、今日も絶頂を迎えた。
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