町
捨てるもの
検査を受けた日から三日が過ぎようとしていた。
未だ
「――で、朝っぱらからあなたは、何をしているのかしら」
「ゴミ拾いですが、なにか?」
加えて、置き土産のように
そこへ
朝の鮮やかな日差しに似つかわしくない低調なトーンで、
「神国だ何だと言われていますが、ゴミぐらい出ます」
しかし死にかけの肉体を使って朝っぱらからゴミ拾いというのは、感心すべきか嘆くべきか、わからなくなる。
「私もまとめて火葬されてしまえばいい――という顔ですね」
「そこまでは思ってないわよ」
「そこまでは、ですか。当たらずとも遠からずですね」
「あと一歩でそこに混ざっちゃうなぁ、ぐらいのことは思うわよ。普通」
「思わないですよ、普通。……まだ小屋には帰れないのですか?」
「帰りたいんだけどね。
獣使いの少女は一度口籠もって、打ち明けて良いことなのか判断してから、慎重に言を継ぐ。
「軍部は、私と彼を港町奪還作戦に加えて、確実に作戦を遂行できる体制を整えたいみたい。その説得が――ね」
ついでに言えば、絶滅したはずの魔女が死霊術という格別に特殊な術を用いながらとりあえず生きて発見された、ということにも軍部は色めきだっているらしい。
これで神国の体裁を保つことができる――と。
「作戦に加わる気は無いのですか?」
「あの町に居たあなたに、こんなこと言いたくないけれど……」
あと一歩でゴミに混ざりそうとまで言っておいて、この人は何を言い辛そうにしているのだか――。死にかけの少女は無表情のまま呆れた。
「彼、この町のことしか頭にないのよ。他は二の次、三の次。どうでもいい、なんて言葉を口にすることもあるわ」
一方、表情豊かで溜め息の多い獣使いは、悩ましげに言葉を紡いだ。
彼の言う『他』の中に自分も含まれていると思うと、酷く切なくなる。――いっそ本当に身を切り裂いてくれても、彼の手でやってくれるなら幸せかもしれないと思えるくらいなのに。
「そうですか」
「――意外。自分の生まれ育った町を助けてほしくないの?」
「私も、彼と同類なんです」
同類という語句に獣使いの少女は一瞬の苛立ちを覚えたが、年下を相手に苛立っては大人げないとどうにか表情に出さず飲み込んだ。
「生まれ育った町を救えるのなら協力は惜しみません。ですが奪還というものは、土地や建物の話でしょう。人間にとって本当に大事なものを奪い返すのは難しいです。それを無理に奪い返す――奪い返した
だが今度は、自分より年下の少女が発した言葉に思わず胸を打たれた。奪われたものは領土や建物、金銭だけではない。命、時間、
それらは目に見えず、何をもって奪還とするのかも曖昧。でも復讐を果たせば少しは取り返した気分になれるのだろう。
「軍部の人間にも聞かせてあげたいわ」
圧倒的な力を持つ魔女を失った
『戦力が足りない』、『
故に評判は悪い。蛮族が軍の威を借りているのだから、方々で問題は起こる。
年上の少女は朝焼けの空を見上げながら、評判が地に落ちた
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