幼馴染はカモメ好き

勝利だギューちゃん

第1話

呼び鈴がなった・・・

監視カメラでみる・・・


(居留守を使おう)


出なかった・・・


また呼び鈴がなった・・・

監視カメラでみる・・・

先程と同じ相手・・・


(居留守を使おう)


出なかった・・・


スマホの電源も切った・・・

固定電話は、留守電にしておこう・・・

鍵もかけた・・・


これで、俺の穏やかな休日は約束された・・・


天気は快晴だが、今日は外出は控えよう・・・


そうと決まれば、お昼寝だ。

スペインでは、シェスタというお昼寝タイムがあるらしい・・・


さあ、寝よう・・・

今日は、家族はみんな留守で、俺ひとり・・・


お休み・・・


「・・・きろ」「起きろ」

(誰だ?そっか、夢か・・・)

「裕哉、起きろ」

その声に、飛び起きる。


「茜、どうしてここに?」

鍵はかけたはず・・・


「呼び鈴鳴らしても、居留守を使うし、スマホの電源は切るし、固定は留守電にするし・・・」

「断じて、そんなことは・・・」

「否定する?」

「しません」

「よろしい」

こいつは、疲れる・・・


「で、何の用?ていうか、どうやって入ってきた?」

戸締りは完璧なはず・・・


「おじさんと、おばさんから、よろしく頼まれて、鍵あずかった・・・」

茜は鍵をみせる・・・


「今日は、私が裕哉の面倒をみるからね」

「なんだよ・・・じゃまくせえな・・・」

「『かわいい茜ちゃん、お願いします』は?」

「・・・かわいい、茜・・・いゃん、お願い・・・します・・・」

「よろしい」


秋野茜、俺の幼馴染・・・

天真爛漫、品行旺盛、容姿端麗・・・な女の子・・・

クラスの・・・学校の人気者・・・


でもこいつは・・・


「さあ、裕哉出かけるよ」

「どこへ?」

「いつものとこ」

「今日も?」

さすがに毎度は、疲れる・・・


断ろうと思ったが、拒否権はないようだ・・・

仕方ないので、付き合う・・・


着いた場所は、野球場・・・

こいつは、熱狂的な野球ファン・・・

千葉ロッテマリーンズのファン・・・


生まれ時からの、ファンらしい・・・

ちなみに、こいつの両親は、オリオンズの頃からのファンのようだ・・・


俺は、茜とは違うパ・リーグの他の、球団のファンだが・・・

口が裂けても言えない・・・


ちなみにこの日の対戦チームだったが・・・


茜は、終始声をあげて応援していた・・・

選手が出てくるたびに騒ぐ・・・


「裕哉?」

「何?」

「もし勝ったら、買ってね」

「何を?」

「あれ」

「持ってんだろ?」

「いいの」

負ける事を祈ろう・・・

でも・・・残念・・・いや、見事に勝利を収めた・・・


「裕哉、約束通りに買ってね」

「わかりました」

ショップに立ち寄り、帰路に着く・・・


「今日、泊まるからね」

「はいはい」

「何もしないでね」

「しねーよ」

このような、やりとりが続く・・・


茜は、球団マスコットのマーくんの、ぬいぐるみを抱いていた・・・


俺は心の中で叫んだ・・・

(次こそ勝てよ!ライオンズ)

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幼馴染はカモメ好き 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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