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ここはグリダニア領、ラベンダーベッド1区。豊かな自然と美しい花々に彩られた、冒険者向けに割り当てられた居住区画である。
ここに居を構える小さなフリーカンパニー【THE EAST】が所有するEAST HOUSEの庭に、今日は珍しく人が客人が来ているようだ。
「お嬢。木人での稽古中失礼するぞ。あの青いうつけはおらんのかの。」
「お、よぉピピさん!そのうつけならさっき酒瓶持って釣りに行って来るってよ!一足遅かったな!ハハハハハ!」
人を尋ねてやってきたのは、リムサ領ミストビレッジにて名高い新進気鋭のフリーカンパニー、オツキミまうんてん(略称:PiP)の社長を務めるピピミだった。常に和装に身を包み、どこか儚さを潜ませる彼女の雰囲気は独特だった。
「怪我の具合を見に来てみたら、呑気なものよの…。」
「呼ぶかい?歩いて出てったから、たぶん黒衣森辺りにはいるんじゃねぇかな…オラ!!」
木人に素早い回し蹴りを放ちながら会話を交わすお嬢と呼ばれた男。彼はEASTのメンバーの1人であり、ある時はヒューランの女性の姿、ある時はララフェルのおてんば女の子。現在は紫の体色をしたアウラ・ゼラであるが、すべての姿は変化の術によるものであると彼は言う。本当の姿はEASTメンバーを含め誰も知らないのである。
「いや、よい。昼間から飲酒など、元気な証拠じゃろう。」
「ハハハ!そりゃそうだな!まぁこっちはいいとして、お宅さんの方はどうなんだい。」
「あぁ。りおん君の方も怪我自体は治っておるようじゃ。ただあのうつけめ、本気で殺しにかかったのか妙な力を使いおって…後遺症が残りそうじゃの。まぁ、それに関してはあやつもお互い様と言ったところじゃが。」
「マジかよ…。ウチの
「お嬢が謝る事ではない。過ぎた事じゃ。ただの。」
ピピミがふぅ、と溜息を漏らす。
「…まぁ今日はよい。あやつがおらぬのであれば仕方がない。仕切り直そうかの。」
「やっぱり呼んで来ようかい?」
「いや。あやつの体質的にも今は触れん方がよいのかも知れんの。まだしばらくはそのまま放っておいてもよかろうて。」
「気を使わせてばかりで申し訳ねぇな。あ、茶でも飲んでくかい?」
「ん?茶菓子はあるのかの?」
「ぷいさんがクガネから持ってきた饅頭かなんかがあったと思うから、食ってけよ!」
ピピミの目がきらりと輝く。
「ほお!饅頭とは気が利くの!流石は忍びと言ったところじゃ。」
「ハッハー!褒めてもこれ以上はなんも出ねぇぜ!上がんな上がんな!」
あねこま前日譚
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